『エース・バッカン』がアドバイスするバレルをメイクするコツ6点
ライター: ario
自然が生み出す奇跡の造形・波のトンネルに包まれ、波のスピードと完全に同化し、そして再びトンネルから抜け出すチューブライディング。数多あるマニューバーの中で、サーファーにとって目指すべき最終目的地とも言えるチューブライディングは、バレルになる波を見極める目、経験、波と同化するテクニックなど、サーファーが要求されるものも多い。
まだメイクしたことはないけれど、いつかは必ず・・・と夢見ている方も多いのではないだろうか。残念ながら、平均的な日本のビーチブレイクではなかなか綺麗なバレルにお目にかかることはできないし、トリップに行った先でお手頃なサイズのバレルに出逢えるかどうかも運次第だから、経験が積みにくく習得が難しいテクニックでもある。しかし、来るべき日のために、バレルをメイクするコツを頭に叩き込んでおくことは、悪いことではないだろう。
こちらに紹介するのは、ハーレーのライダーであり、人懐っこい笑顔が魅力のCTサーファー、エイドリアン”エース”バッカン(Adrian”Ace”Buchan)がSURFER Magazine上で語ったチューブライディングのコツ6点をまとめたもの(How To Get Barreled)だ。エースは世界一ヘビーなバレルウェーブとも言われているWCTツアー、タヒチチョープーの大会でも優勝経験のある実力者。彼の含蓄あるアドバイスを胸に秘め、来るべき日に備えよう!
①自信がすべて
色んな波質のバレルがあるけれど、どんな波でやろうと、とにかく一番大切なのは「絶対にメイクできる」という自信を持つことだとエースは述べている。
外国の波がいいスポットへトリップに行くと、カーヴィングやカットバックなどオープンフェイスでのテクニックはまるでなっていないのに、バレルだけはガンガンメイクするサーファーに出逢ったりする。それもまた彼らが身に付けた「自信」の成せる技ということなのだろう。
②ボードはいつものサイズを、できればラウンドテールで
波がそんなに大きくなければ、エースは通常サイズのボードで充分と言っている。テールはラウンドテールだと「よりドライブできる」らしい。
エースは6フィート(約1.8m)より波が大きくなるようであれば、通常より1〜2インチ長い、クワッドのボードをチョイスするらしいが、チューブライディングを練習中のアベレージサーファーはそこまでヘビーなバレルには挑まないだろう。
③正しいライン取りが大事
テイクオフしてバレルにプルインするときに犯しがちなミスが、ポジショニングがハイライン過ぎてリップと一緒に巻かれるか、逆にポジショニングが低すぎてリップにつぶされるかだと言う。
エースのアドバイスによると、バレルの形状がアーモンドのような楕円形の波であればハイラインを意識し、逆にフェイスが切り立ったバレルであれば、低いポジションを意識すると良いらしいが、いずれにせよブレイクを熟知することが先決で、もしブレイクの仕方をまだ把握出来ていないと思ったら、しばらく岸から観察すべきだとエースは語っている。
④ストールについて
ストールとは、ブレーキをかけて波の速度と一体化するテクニックの事で、バレルをメイクするには欠かせないものだ。しかしエースは、もしストールしないでメイクできる場合はしないと言う。
なるべくピークの奥にポジショニングしてビハインド・ザ・ピークでメイクするか、そのままバレルに包まれるのを狙うそうだ。もちろん、必要な場合はストールするのだが、ストールに「正しいやり方」というものは存在せず、片手を波に刺したり、両手を波に刺したり、リップの真下でスナップしてみたり、とにかくスピードが落とせれば、それが正しいストールなんだとエースは語っている。
⑤もう1秒、こらえよう
多くのサーファーが、せっかくバレルにプルインしてもすぐに自ら転んでしまっているとエースは指摘している。常にもう1秒長く、ボードの上に乗っているように努力しよう。次の瞬間、目の前に出口が開くかも知れないし、不安定なフォームボール(波がブレイクした後の泡の塊)に慣れる事は良い経験だ。
こらえていれば、フォームボールの上でもしっかり滑れるということにすぐ気がつくだろう。もし、クローズアウトすると思っていたセクションを、グッとこらえて抜けることができたら、それはサーフィンにおいて最高の瞬間となる。
⑥クローズアウトしそうなら、なるべくボードは身体から離すこと
バレルに包まれているとき波がクローズアウトするなと思ったら、プルアウトの仕方はいくつかあるけれど、最も大切なのはボードをなるべく身体から離しておくということだ。さもなければ自分のボードで大怪我する事態にもなりかねない。
ボードを前に蹴り出すサーファーもいるが、エースの場合は自分がボードの前にジャンプしてプルアウトするようにしているそうだ。
いかがだっただろうか。日常のサーフィンでチューブライディングのトレーニングに打ち込めるチャンスはそうそうないかも知れないが、エースがくれた6つのアドバイスがいつか役立つ日が来ることを祈りたい。最後に、今回のコーチであるエース・バッカンのスキルフルなライディングを堪能しておこう。こちらのサーフィン動画には、彼がチョープーの大会で優勝した場面も収録されている。
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この記事を書いたライター
ario
オウエン・ライトの身長とロブ・マチャドの髪質を授かったが、残念なことにレギュラーフッター。三人の娘を育てながら、日々サーフライフバランスの実践を模索中。出没ポイントは千葉一宮。
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