動作の一つ一つに高度な基礎技術が詰まっているテイクオフ
ライター: ドジ井坂
東京オリンピック サーフィン日本代表選手について
ドジ井坂です(私については…『ドジ井坂』ドジと呼ばれて50数年、この名前の由来とは)。東京オリンピックのサーフィン会場も決まり、日本代表選手を選出するため強化指定選手81名(男子51名/女子30名)が、日本サーフィン連盟(NSA)から発表されました。一般社団法人日本プロサーフィン連盟(JPSA)、World Surf League Japan(WSL)と協議して合同で強化合宿の開催も予定しているそうです。
*詳しくは▶︎日本サーフィン連盟(NSA)が『2017サーフィン強化指定選手』81名を発表
そして2年後、サーフィン日本代表選手が選ばれるわけです。でも、あと2年あるわけで、この81名は現在のトップかもしれませんが、これからトレーニングして素晴らしい結果を残せば、代表候補にそして代表選手になれる可能性はまだあるのです。今注目の選手だって3年前は,まだニューカマーでしたからね。
サーフィンの波はコンスタントではないので、WAVALにも波の良い日のベストショット、ベストアクションが掲載されています。でも波が良ければ,誰でもベストパフォーマンス出来る可能性はあります。ですから誰もが良い波に乗りたい気持ちはわかります。
しかし、競技(勝負)の世界では波の良し悪しに関係なく、その日その波に上手く乗れば、そして高得点をジャッジからもらえば良いのです。サーフィンの実力を評価するには、チャンピオンツアーのようなシリーズ(リーグ)戦のグランドチャンピオンが、コンテストサーファーの最高の栄誉というわけです。
では、そのトップリーグのサーファーを分析していけば、何がコンテストに勝てる能力なのか、わかってきます。これはどのスポーツにも言えることですが、サーフィンの基礎技術です。それはスケートボードも同じで、基礎技術のミスが目立てば能力は高いとは言えません。
今回は、鴨川の文理開成高校の1年生の多和くんのカットバックのシークエンスから、さらに上を目指してオリンピック代表候補になるためのトレーニングアドバイスをしてみることしました。2017年に多和くんが、どこまで成長するか楽しみです。でも結果が出なければ、どんどん選手交代していきますよ。
動作の一つ一つに高度な基礎技術が詰まっているテイクオフ
鴨川の文理開成高校の前の潮が上げて厚めのブレイクでのカットバックです。昨年からトレーニングしてきた,ジャパンメソッドの基本姿勢は出来ています。ですから上半身を振り回すことなく、腰の左右への体重移動でボードと身体が一体となってターンしています。
しかし、以下シークエンス画像No.12までは良いのですが、No.14から後足の膝が開いて,後足に体重が乗って踏ん張ってボードの動きを止めています。個々でスピードをロスしなければ、もっと波の奥で余裕を持ってリエントリーできる様になるのです。
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こんな感じのカットバックが出来たら、こんな感じの動きが出来たらいいな・・
と考えているのなら、テイクオフ体操のシートで、この膝の位置やバランスをシートの上で修正してみてください。
1.サーフィンテイクオフ動作
「実際のサーフィンでは、後足はボードに着かないのに、なんで練習では膝をつけるのですか?」という質問をされる方がいますが、それは実際のサーフィンのテイクオフのための動作と身体のバランスをチェックするトレーニングなのです。ですから後足膝が、前足のすぐ後にある身体のバランスは、前足に体重が乗って加速します。(注、このテイクオフ体操はグーフィースタンスです。後足、前足の確認をして下さい。)
2.サーフィンテイクオフ動作
しかし、後足を前足のくるぶしまで持ってくる姿勢を意識できないと、後足膝がテール寄りに移動して後足体重になり、腰が進行方向へ正対できません。するとターンのコントロール上手くいかず、失速してしまうのです。
この姿勢をイメージして、多和くんのカットバックのシークエンスもう一度観て下さい。踏ん張ってもたついているのがわかります。
3-a.サーフィンテイクオフ動作
膝が開いて,腰が進行方向へ正対できないと、カットバックのリエントリーはコンパクトな動作が出来ず、大きなターンになってしまいます。
3-b.サーフィンテイクオフ動作
後足の膝が前足の近くにあると、腰もジャパンメソッドの進行方向へ正対して,前足体重で高速でターンできるようになります。この膝の位置は重要ですね。
このテイクオフ体操の動作をしっかりイメージして,カットバックを試しにやってみて下さい。ボードを振り回したら上手くいかないことわかります。
素人解説は恐ろしいです。「テイクオフは、両手でレールを持ってポンと立つ」など曖昧なやり方を教えている方も沢山いらっしゃいます。文理開成の3年生がオーストラリアに行って、有名なコーチにカットバックのやり方教わってきたと言っていたので、そのやり方を聞いてみました。
僕が1980年代に解説していた、身体振り回してカットバックするファンボードのサーフィンのやり方を、そのままショートでやらせようとしているようですね。オーストラリアのメソッドは大丈夫かな。僕が言いたいのは、テイクオフの動作の一つ一つにも、より高度な基礎技術が詰まっているということです。
より繊細にショートボードを操作する、身体の位置や姿勢やバランスを微妙にチューニングすれば、多和くんだって一年でこのカットをバックマスターできますね。
ジャパンメソッドをはじめ、オリンピックに向けたトレーニングや理論は、日々進化しています。
半信半疑でよくわからない方は、是非ドジ井坂が開講している夜のトレーニング講座やクリニックで体験してみて下さい。※トレーニングスケジュールはこちら▶︎ beachschool.com から!
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この記事を書いたライター
ドジ井坂
ドジ井坂です。
全日本プロサーフィン選手権初代チャンピオン。日本人初の世界選手権出場、シェイパーとしても活躍し、1968年から世界のサーフィンを実体験し、40年以上にわたる指導経験から、入門書など多数。そのサーフィン基礎理論は、身体の動作研究にも及び、海のスポーツ特有の理論研究とそのトレーニング用具開発に進化している。
東京オリンピックに向け、サーフィンのトレーニングにスケートボードも導入し、日本人に適した動作感覚とバランスのシュミレーショントレーニング「ドジ井坂ジャパンメソッド」の普及活動を始めた。
もっと気軽にビーチを通年活用していくためのコミュニティ活動「ビーチクラブ構想」を国土交通省支援の下に立ち上げ全国13箇所で展開、一般社団法人ビーチクラブ全国ネットワーク理事長。海岸の様々な利活用に関する神奈川県や千葉県、地方自治体の委員を歴任。海や海岸のジャンルをも飛び出してしまう超マルチな活動を今も精力的に展開。1948年神奈川県茅ケ崎市生まれ。の今は「海オヤジ」。
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