【水難事故】サーファーも知っておきたい、溺れている人の見分け方と救助方法

ライター: Mg

Facebook

Add this entry to Hatena Bookmark

避けたい水難事故!溺れている人の見分け方と救助方法は?

楽しい夏の海。サーフィン。しかし6、7、8月の夏季は海難事故が1年のうちでもっとも増える時期でもあります。特に溺れている人の事故は、近くに人がいたにも関わらず起こってしまった事例も多いものです。それだけ分かりづらい状況だということ。サーファーは海にいる時間が長いので自分の事故防止はもちろん、万一近くで誰かが溺れてしまっている場合の見分け方と対応方法も知っておきたいものです。記事後半では応急手当講習、心臓マッサージと人工呼吸方法などの動画もご紹介致します。

【Index】

1.溺れている人をみつけてください

サーファーのみなさんはご覧になったことのある方もいらっしゃるでしょうか。舞台はプールではありますが有名な動画から質問します。動画を見て、この中でおぼれている人を1人、溺れてから10秒以内にみつけてください。

溺れている人の特徴や見分け方

1.離れている場所から分かること
・口が水面の付近にあるまま浮かぶのと沈むのを繰り返す
・腕を横にして水面をおさえるように動く
・急に静かになった
・直立して足を使っていない
・何かを登っているかのような動きがある
・泳いでいるようでもどこにも進んでいない様子

2.近くから分かること
・急に静かになった
・呼吸が荒い
・無表情
・目をつぶっている
・目や額が髪の毛で隠れている
(平常時は手で払うはず)

※子供の動作は犬かきをしているように見える場合もあります。

“おぼれている人は叫んで手を振り、一目で分かるようにアピールするのでは?このようなイメージはTVや映画で作られた幻想です。自ら声を上げ、助けを求められる場合は深刻な事態の前段階なのです。実際は声を上げることもなく静かに溺れていきます。「声を上げることもできない(呼吸ができる次の段階で声を出すことができる)」「手を振ってアピールすることなどない(本能的な行動で精一杯で、手を上げたりすれば体が沈んでしまう)」「口のあたりが水面から下へ沈んだり上へ上がったりを繰り返す」。

水難事故では近くに人がいたのにも関わらず異変に気付くことができなかったケースも多く、本当に深刻な事態においては周囲からも『一見静かで問題がなさそうに見える』のです。そのためそばにいる両親すら、騒ぐでもない暴れるでもないわが子の異変に全く気が付かなかった事例も報告されています。※声が出せず、身動きもとれない、それが溺れている人なのです。ライフガードであれば疑わしきはすべて救助に向かいます。

2.溺れて耐えられる時間

溺れて耐えられる時間はわずか20~60秒。その時間が経つと完全に身体が沈み始めます。命に関わるまでの時間はおそらく予想より非常に短いのです。ライフガードはトラブルが起きてから10秒以内に発見、20秒以内にレスキューする(最初に辿り着くまで10秒)、10-20秒ルールが適用されています。先の質問で「10秒以内に見つけてください」としたのは実際のライフガードのルールからでした。

ではもう1点動画を。別バージョンです。特徴をふまえた後、2回目に見る動画では最初より理解しやすくなっているのではないでしょうか。

答え:

最初の動画
溺れている人の見分け方_1_答え_

2回目の動画
溺れている人の見分け方_2_答え_



3.救助の際にやってはいけないこと

助けようとした人までもが事故となってしまうというのは、ケースとしてとても多いものです。2次災害が起こらないように必ず落ち着いて対応しましょう。

・1人で助けようとしない
どうにもならない場合の最後の選択です。本当は素人が助けに入ってはいけない。それでも最後の選択として自分が入る場合、プロのライフガードでも道具も持たずに救助に向かう事はありません。どうしても向かうという場合は浮具となるものを確保して向かうことです。水中でも ①すぐに近づかず声掛けをしてから持っていった浮具を与え、②溺れている人が落ち着いたところで、③安全な場所に誘導するのが理想的です。

溺れている人の正面からは近づかず、背中側から羽交い絞めのようにするという話もありますが、実際には溺れている人はすぐに何かに掴まりたいので必死にこちらを向いてきます。背後に回るなどほとんど不可能。正面から抱きつかれて動きが取れなくなってお互いだめになるパターンが実際にあります。相手はパニック状態ですからすごい力でそばにあるものに登ってこようとしてきます。大変危険で助ける前に沈められます。しがみつかれてしまったら、手荒ですが相手をひっぱたく、頭を掴んで一旦水中に沈める、と、そうまでしてでも正気を取り戻してもらうよりほかありません。ここまでくると本当に最終的な段階ですのでそもそもはこんな状況にならないようにすることです。

・着衣のまま海に入らない
洋服のまま水中に入ると締め付けられ、重みも増します。1人で助けに入ってはいけませんがどうしても入るというなら衣服は脱いでから入るべきです。

・飲酒したまま海に入らない
体調不良も同じく自分を過信しないように。

4.溺れている人を発見した時の対応方法

・ライフガードがいればプロの対応を仰ぐ
・興奮しない。パニックにならない
・溺れている人が正気を保てるように声掛けを続ける
・浮具を確保する
∟ペットボトル、袋、サーフボードでも、浮具となるものをみつけ声を掛けながら溺れている人に届くようにする。
∟ペットボトル、ナイロンの袋は少量水を入れると投げやすくなる。下からアンダースローで。
・できる限り陸上から救助できる方法を考える
∟棒、板、ロープ、サーフボードなどを使う
・周りにできるだけ多くの人を呼ぶ
∟役割分担ができる。浮具となるものを探す人、救急車を呼ぶ人、見守る人など。
∟消防署 119番 警察署 110番へ救助を要請する。沖に流されている場合は海上保安庁 118番(いずれかに連絡すれば消防-警察-海上保安庁は情報を共有している)

【救助後】
・意識と呼吸を確認
呼吸が止まっていれば心肺蘇生法などの応急処置が必要。これが早期にできるかで生死を、あるいはその後の障害を残さないようにするかを左右します。心臓停止では3分間放置された場合、呼吸停止では10分間放置された場合、いずれも死亡率が約50%までに上がります。早期の応急処置で一命を取り留めた例:ビッグウェイバー『アロン・ゴールド』ワイプアウトから一命を取り留める パイプラインで意識不明となったエバン ガイゼルマンの続報 救急救命法の講習は管轄地域の消防署や各自治体でも行われていることがありますので確認してみて下さい。

5.応急手当講習 心臓マッサージと人工呼吸

アゴを上げて気道確保。鼻をつまみ、吹き込む息が鼻から漏れ出さないようにし、胸が上がるのが見てわかるくらいの息を吹き込む。一旦口を離し、息が自然に吐き出されるのを待ち、2回目の息を吹き込む。

まだ安心には早く、せっかく救助されても8~24時間後までは危険な状態になったり亡くなることもある「二次溺死」があります。肺に水が入ったままになっていることが原因です。救助された人はその場で正常に見えても必ず医療機関で診察を受けなければなりません。

6.もしも自分が溺れたら

溺れた時、無理に声をあげたり、無理に岸に向かって手を振ろうとしたり、無理に岸に向かおうとはしてはいけません。

・パニックにならない
映画マーヴェリックスの中で師フロスティがジェイに言うセリフにあります「恐怖は健康(感情)、パニックは死」。恐れる感情は当然ですが最大限、自分を見失わないよう努めることです。通報してもらってから消防の救助隊は8分以内に到着します。

・ムリに泳がず仰向けに浮き余分な体力を使わない
「着衣泳」とも呼ばれるこの方法は泳ぎ方ではなく、呼吸を確保して救助されるまで浮いて待つ対処法です。この重要さはそのまま「浮いて待て」を意味する「UITEMATE」として日本語のまま世界に広まっています(主にタイなど津波の多い地域を中心に)。流されれば非常に怖い思いをするはずですが『基本的に水に浮く』という人の体の構造を信じましょう。むだに体力を消耗せず呼吸を確保して救助を待つことで助かる可能性がずっと上がります。

東日本大震災で多くの児童を救った「UITEMATE」のやり方

1.背で浮き、大の字になる
手は水中で良く、手をムリに水面に出したりなどと力まない。あごを上げ気味にして呼吸を確保。背は伸ばし胸まで水中に出るイメージで。浮力のあるものがあれば胸に抱える。ペットボトルなどは頭(首)の下に敷くこともできる。

2.落ち着く
ムリに泳ぐ必要はない。静岡県で高波から1晩をUITEMATEで過ごし助かった例がある(足がつったため無駄に近くまで泳ごうとせず、背浮きしたことが奏功した)

3.服、靴は脱がない
浮力、体温保持、ケガ防止の観点から。洋服や靴の素材は基本的に水に浮くようなものが多い

浮いて待て
海に落ちた時は「UITEMATE」

7.水難事故を未然に防ぐために

・準備運動を軽く見ない
準備体操なしで入水したのが溺れた原因になっていることがあります。
・カレント(離岸流)を知っておく
サーファー自身に身近と思われる海の事故の1つとしてカレントがあげられますが、カレントは最高で秒速2mほどの速さにも達し、幅は10~30m、長さは数10~数100m、発生場所は数時間~1ヶ月前後までの期間で変動するものです。知識を頭に入れ冷静に対処してください。

関連記事をリンクしておきます。
【カレント(離岸流)を見分ける方法】海に入る前に確認するべき事
【カレント(離岸流)に流された時の対処方法】海に入る前に確認すべき事

カレント

8.水難事故予防 救助グッズ/子供用ライフジャケット

大事に至らないことが一番であるのは言うまでもありません。その他未然に事故を防ぐ便利グッズもあります「Kingii(キンギ)」という名前のこの浮具は開発者のご友人の悲しい水難事故をきっかけに考案されました。ライフジャケットの代用品ではありませんが、リストにつけていれば危ない時に膨らませて浮具となるもの。小型でわずか140gと軽量ですがその実力は体重124kgまで対応。水深4mから大人の男性も浮かび上がらせるほどです。膨らんでいる時間は48時間と長く、警笛も付き、使用後はCO2カートリッジを詰め替え繰り返し使用出来るものです。サーフィンにどの程度普及するか分かりませんが頼もしいですね。

kingii_surfing

膨らませた状態
kingii

Kingii(キンギ。キンジーと表記しているショップもある)
使い方動画→http://www.kingii.com/jp/

子供の磯や川遊びには、子供用ライフジャケットを。

関連記事:生存率約3倍!?水辺遊びで子供に着用必須のライフジャケットの選び方

夏季には必ずといってよいほど毎年ニュースで報じられる悲しい海での事故。海にいるからには周りで起こった際の対処法も身につけておきたいものです。事故に遭いたくて遭う人はいませんが、少しのことが原因となり結果も左右するので心構えが大切です。心からの楽しめる時間を海では過ごしたいものです。



"Catch The Funwave!" - WAVAL(ウェイバル)

「いいね!」してSNSでサーフィン情報をチェック >>

Facebook

Add this entry to Hatena Bookmark

この記事を書いたライター

Mg

Mg

海の街に暮らしています。 海をベースに、人と自然の交わるところで日常がより良くなるような情報を発信していきます。