カレント(離岸流)対処法 その1-カレントに流された時の対応方法

ライター: 有本圭(KEI ARIMOTO)

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・多くの観光客がサーフィンを楽しむバリ島のクタビーチ

私の暮らすバリ島でカレント(離岸流)に流されて命を落とす事故が多発している。台風シーズンを迎える日本でも毎年この時期になるとカレントに流されてしまう事故が発生する。

どんなに気をつけていても海に入っている限りカレントに流されてしまうことはある。これはビギナーサーファーに限らず、ベテランでも同じことだ。コンディションによって強烈なカレントが発生することがある。サーファーであればそういったカレントを経験したことのある人も少なくないはずだ。漕いでも漕いでもピークに戻れない、なんてことはわりとよくあること。

ではそれくらいの強さのカレントが沖に向かって流れていたらどうなってしまうのだろう。どんなにパドルをしても岸が近づいてこない。むしろ遠ざかっていく。ものすごい恐怖感があなたを支配するだろう。このまま沖に流されて海の藻屑となってしまうのか。もう家族や恋人と会えないかもしれない、そんな不安が襲ってくる。楽しいはずのサーフィンが一瞬にして命を脅かす危険なものとなってしまう瞬間だ。

では実際にカレントに流されてしまった時にどのように対応するか。これを知っているのと知らないのでは命を分ける可能性もある。知識として知っておいていただきたいのでまずはカレントに流されたと気付いた時の対処法をご紹介したいと思う。

カレントに流されてしまった時の対応方法

1.冷静さを保つ
まず大切なのはパニックにならないこと。どんなにメンタルが強い人でもこのまま死んでしまうかもしれないと思った瞬間にパニックを起こしてしまうことが多い。そうすると冷静な判断ができなくなり、無駄に体力を消耗して助かるものも助からなくなってしまう。

まずはとにかく冷静さを保つこと。生き残るためにはパニックではなく心を落ちつけて冷静になること。そして絶対に生きて帰ると強く心に刻むことが大切だ。

2.大声で助けを求める
カレントに流されたことに気づき、まだ岸側にサーファーの姿が見えているようなら躊躇せずに大声を出して助けを求めよう。この時には恥ずかしがっている場合ではない。恥ずかしがるなら命が助かってから恥ずかしがればいいのだ。

なるべく高い声、裏声で大きな声を出すと遠くの耳にも届きやすい。指笛ができる人はそれでもいい。とにかく気づいてもらうことが肝心だ。気づいてもらいさえすればたとえ彼らが助けに来ることができなくても彼らが岸に戻ってから救助を求めてくれる可能性が高い。早めに救助が出てくれれば見つかる可能性も高まる。とにかく躊躇せずに声をあげよう。

3.サーフボードを振る
どんなに大声を張り上げても気づいてもらえないこともある。沖に向かってカレントが流れている時は風が沖に向かって吹いているケースが多いからだ。

それでもまだラインナップにいるサーファーが目視できるのであればサーフボードを頭上に掲げて左右に大きく振ってみよう。サーファーは基本的には波を探すために沖側に意識を向けている。サーフボードを高く横に振ることによって視界に入ってくれることもおおいに考えられる。助かるにはとにかくいち早く誰かに気づいてもらうことが肝心だ。

4.横に向かってパドルする ゆっくりと着実に
カレントの特徴は川のようなもので海全体が流れているわけではない。カレントが発生しているところを抜ければ流れが止まることもある。特に風が弱いにもかかわらずカレントが発生している時はその可能性が高い。

岸に向かってパドルしても岸が近づいている実感がない場合でまだ体力が残っていると感じるならば岸に向かってパドルするのではなく横にパドルしてみよう。必死に岸に向かってパドルをしているにもかかわらず沖に流されているのだとしたらそのまま岸に向かっても体力を失うだけだ。体力を失わないようにゆっくり確実に横にパドルするように意識しよう。カレントから抜けることができれば岸に戻ってくることができるはずだ。

その時に体力が残っているというのも重要なので、全力でパドルするのではなくゆっくり着実にパドルするようにしよう。腕でパドルするのではなく、背中を使ってパドルするように意識すれば疲労は少なくなる。

カレントに流されたと気付いた時にまず考えるべきこと

このようにカレントに流されたと気付いた時にまず考えなくてはならないことは誰でもいいから自分が流されてしまっていることに気がついてもらうということだ。気付いてもらえれば助かる可能性がぐっと上がるはずだ。躊躇せずに行動に出よう。

・続きは→︎カレント(離岸流)対処法 その2 – 既にかなりの沖へ流されてしまった場合

 



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この記事を書いたライター

有本圭(KEI ARIMOTO)

有本圭(ありもと けい)
バリ島在住のフリーライター。2000年よりプロロングボーダーとしてコンテストで活躍する傍ら、旅行会社からのサポートを受けながらサーフボードと抱えて世界中を旅してまわる。プロツアーを引退した後、経営者としてのキャリアを経て、2012年に家族とともにバリ島へ移住。現在、ライターとしてサーフィンの魅力を伝えていくことに加え、ライフスタイル、バリのカルチャー、環境問題、家族、仕事などをテーマに幅広く執筆活動に励んでいる。
・Instagram→@keiarimoto
・Blog→sw-players.com/