事前に知っておくべき雪崩(なだれ)の仕組み・事前対策・対処法

ライター: Mg

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雪崩_注意

スキーやスノーボードで、ゲレンデを離れて手つかずの自然の中を滑るバックカントリー。バックカントリーは遭難やケガの危険もつきものではあるものの、大自然の地形をどう遊ぶかがクリエイティブであったり、そこにある絶景や誰も足を踏み入れていないパウダーを滑る爽快感がその魅力でもあります。
標高の高い山ですと春先でもまだパウダーが残っていることもありますが、遭難の他、特に気を付けなければならないのは『雪崩(なだれ)』による事故です。

こちらは何人も巻き込まれた衝撃的な雪崩の映像です。

スノボー界のレジェンド、クレイグ・ケリーの死因となった『雪崩』

4度の世界トップの座を手にし、また競技を離れてからはフリースタイルライディングの先駆けとなってスノボ界をリードしていたクレイグ・ケリーは、愛する妻や子どもを残して、36歳の若さで命を落としました。
カナダで起こった幅およそ30m、長さ約100mのなだれに巻き込まれたためでした。今も惜しまれる、スノーボード界に偉大な功績を残した人物です。今後の活躍も期待されていたクレイグ・ケリー。2003年1月、世界に衝撃を与えた、突然の訃報でした。

雪崩の仕組み

雪崩は大きく分けて2種類あります。

雪崩の種類

・表層雪崩(ひょうそうなだれ)
∟凍結している積雪した斜面に新たに雪が降り、それが滑り落ちるもので、長さ数kmに及ぶ大災害になることも。1~2月の厳寒期に起きやすいです。

・全層雪崩(ぜんそうなだれ)
∟春先のような気温が上がってきたときに、斜面の地表面から雪全体がすべり落ちてくるもの。気温が上昇して雪がとけ始める3月以降に起きやすいです。

雪崩が起こりやすい場所

・勾配35~45°の斜面
・まばらに木が生えている場所や、低木林、草に覆われた斜面

樹林帯の中でそこだけ木の生えていない斜面があったら、なだれが起こる場所と疑ってよいでしょう。

参考:雪崩についての解説

雪崩事前対策

雪崩注意報に注意し、本来は、雪崩に遭わないことがいちばんの対策です。リスクを避けるためには、激しい降雪中や降雪直後の行動を避けること、また数日中に30cm以上の降雪があったかをチェックし、あれば雪の状態が安定していないと考えよく注意すべき状況です。

自然には人間の都合は通じず、雪崩は特に自力で対処できることなど有って無いようなもの。まずは避けることを考えなければならないのです。

それでも、安全を確認した上で雪山に入る際には、セルフレスキューに必要な3点の道具を必ず持つようにしてください。バックカントリーで人気の富山県の立山では以下でご紹介するビーコン所持は義務化されました。

3つの道具とは①ビーコン、②プローブ、③ショベルからなる、アバランチギア(アバランチは雪崩の意味。雪に埋もれた人を捜索するための道具と考えてください)のセットです。

ビーコンは電波を発信して、雪に埋もれた際、居場所を教えるもの、また受信するものです。埋まった人をビーコンを使って大まかに探し当てたら、②プローブを雪に突き刺して埋まっている場所を確認し、雪崩の雪質は固く、手で掘り起こすことはできないので、③ショベルを使ってその場所を掘り起こす、という流れになります。

ビーコン
ビーコンは高価なためビーコンのレンタルの利用も検討できます。しかし操作に練習が必要なので、できれば、自分のものがある方が良いです。

プローブ(ゾンデ)
折り畳み式になっていて、使う時に組み立てます。アルミかカーボンといった素材でできています。

ショベル
持ち運びを考えられたコンパクトな収納が可能で軽量な、専門の道具です。

雪崩対処法

-雪崩に遭遇してしまったら?
まずは走って逃げるよりほかありません。それも、大声で叫び、周囲に自分の存在を知らせながら逃げることです。

-それでも巻き込まれてしまったら?
雪の中を泳ぐように動き、木や岩などがあればしがみつきましょう。

-更に雪に埋もれてしまったら?
手で口の周りを囲い、呼吸空間を確保しましょう。埋もれて上下が分からなくなった場合、動けるようであれば、つばを垂らしつばの垂れた方向が下になることを認識してください。

恐ろしい雪崩事故。こうした被害に遭わないよう、細心の注意を払って自然に挑まなければなりません。事故がないことが一番です。被害が少しでも減るように、また少しでも最小限の被害で済むように、素晴らしい雪山の時間を楽しむためにも、防止することや、対策はどうすべきかについて、事前によく考えておかなければなりませんよね。

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この記事を書いたライター

Mg

海の街に暮らしています。 海をベースに、人と自然の交わるところで日常がより良くなるような情報を発信していきます。