日本の「村上瞬」全豪オープン9位入賞!WSL QS世界ランキング35位へ!
ライター: Tsuyoshi Nakajima
日本の「村上瞬」が全豪オープン9位入賞!「WSL QS世界ランキング」を85位も大きくジャンプアップして35位へ。ドリーム・ツアーへ向け大きく飛躍。
夏のサーフィン大国である「オーストラリア/シドニー/マンリー・ビーチ」において、「World Surf League(WSL/世界プロフェッショナル・サーフィン・リーグ)」主催による権威の高い「Qualifying Series(QS) 6,000」イベント『Australian Open Of Surfing(全豪オープン)』が終了。
1週間に渡って開催されたオーストラリアのビッグイベントは、きょう3月6日(日曜日)に素晴らしい晴天の中ファイナルデーを迎えた。波のサイズは2ft(腰~胸サイズ/1~1.5メートル)で、前日までと同様に「オンショア(海から陸に向かって吹いて海面を乱してしまう風)」を受けた難しいトリッキー・コンディションとなった。
サーフィン・ファンだけではなく、さまざまなスポーツ・ファンが詰め掛けた大観衆の前で、母国オーストラリアの元「Championship Tour(CT)」エリート・サーファーである「ディオン・アトキンソン(オーストラリア)」がMen’sディビジョンを制し、現「CT」エリート・サーファーである「ニッキ・ヴァン・ダイク(オーストラリア)がWomen’sディビジョンを制した。
凄まじい大観衆で埋め尽くされた『全豪オープン』会場のマンリー・ビーチ
Men’sディビジョンを制したアトキンソンは、2014シーズンの「CT」エリート・サーファーの1人だ。2015シーズンには、CTクオリファイ(参加資格)から降格してしまったアトキンソンだが、今大会イベントを通して素晴らしいパワフルかつハイリスクを伴うサーフィンを魅せていた。Finalでは、イタリアの神童「レオナルド・フィオラバンティ(イタリア)」に対し、ヒート序盤から完璧なゲーム展開を魅せて圧勝。見事に母国での一大ビッグイベントである『全豪オープン』を制したアトキンソンは、「2016 WSL QS世界ランキング」3位にまで大きくジャンプアップさせ、来シーズンのCTリクオリファイ(再資格)へと向けて最高の滑り出しを魅せた。
一方、Women’sディビジョンを制した「ニッキ・ヴァン・ダイク(オーストラリア)」。母国でのイベントを通して終始に際立ったパフォーマンスを披露したヴァン・ダイクは、Finalにおいて同じ現CTエリート・サーファーであるハワイの「マリア・マニュエル(ハワイ)」と対戦。ヴァン・ダイクは、Semi-fainalsにおいて、同郷のCTエリート・サーファーである「ローラ・エネヴァー(オーストラリア)」とのクロス・ゲーム(接戦)を制すると、さらに勢いを増した。マニュエルとのFinal、自身のピーク(自分の調子)を見事Finalに合わせたヴァン・ダイクは、「パーフェクト10ポイント(1本の波に対して10点が満点)」に近い9.60ポイントをスコアすると、「バックアップ・スコア(ベスト2ウェーブ採点中、2本目に高い点数)」にもエクセレントな8.33ポイントを記録し、「ヒート・トータル(20ポイント満点中)」17.93ポイントという素晴らしいスコアを記録して『全豪オープン』チャンピオンに輝いた。
素晴らしいパワフルなメジャー・マニューバーを披露して勝利した「ディオン・アトキンソン(オーストラリア)」:WSL/Smith
左からMen’s準優勝「レオナルド・フィオラバンティ(イタリア)、Men’s優勝「ディオン・アトキンソン(オーストラリア)、Women’s準優勝「マリア・マニュエル(ハワイ)」、Women’s優勝「ニッキ・ヴァン・ダイク(オーストラリア)」
そして、「WSL QS世界ランキング」の100位前後の選手までしか出場することのできない権威の高いビッグイベント『全豪オープン』に、日本国籍からも世界を目指す数名のワールド・アスリート・サーファーたちが参戦。多くの日本人選手たちが敗退する中、湘南西の湯河原出身である「村上瞬(日本)」選手は、ただ一人快進撃を魅せてRound 5(5回戦)へと勝ち上がった。ビーチ・ブレイクの小さな波から、リーフ・ブレイク(岩場やサンゴ礁など)のパワフルなビッグ・ウェーブまで、オールラウンドに乗りこなすサーファーとして世界的評価を受ける村上選手。
この『全豪オープン』は、イベントを通してビーチ・ブレイクでの比較的小ぶりな波のコンディションとなり、村上選手は凄まじい切れとスピードのある「バックハンド・サーフィン(波に背を向けて演技を行う)」を武器に、世界のビッグ・ネーム(有名なワールド・サーファー)たちを次々と撃破。
「One on One(1対1)」のマッチアップとなったRound 5では、今大会『全豪オープン』準優勝に輝いたイタリアのスター・サーファーである「レオナルド・フィオラバンティ(イタリア)」と対戦。フィオラバンティは、先月「オーストラリア/ニューカッスル/メレウェザー・ビーチ」で開催されたQS 6,000ビッグイベントでも準優勝に輝いており、この『全豪オープン』を終えた時点での「WSL QS世界ランキング」はトップに躍り出る。
事実上において、現「WSL QS世界ランキング」No.1のフィオラバンティと対戦した村上選手、ヒート(ゲーム)中における「パーフェクト10ポイント」の採点中、ともに2本の「ミッド・レンジ(5点前後のアベレージ)」をスコアする素晴らしいクロスゲームを展開するが、フィオラバンティが「グッド・レンジ(6点~8点未満)」となる7.33ポイントの演技を決めて勝利。村上選手を破ったフィオラバンティは、その勢いを保ったまま見事にFinalまで進んで今シーズン2度目のビッグイベント準優勝を決めた。
惜しくもフィオラバンティに敗れた村上選手だが、サーフィン大国であるオーストラリアのビッグイベント『全豪オープン』において、日本人最高位となる9位入賞という素晴らしい歴史を築き、来シーズンの「CT」エリート(ドリーム)・サーファーのクオリファイ(参加資格)に向けて、貴重な「WSL QSインターナショナル1550ポイント」を取得し、「WSL QS世界ランキング」を実に85位も大きくジャンプアップして35位へと着地させ、ドリーム・ツアーへと向けて大きな飛躍を魅せた。
日本人最高の『全豪オープン』9位入賞を果たし、WSL QS世界ランキング35にまで浮上した「村上瞬(日本・湘南西)」選手
*Facebook/Instagramより
今回、『全豪オープン』のイベントサイトからは、試合の進行状況である「ライブ中継」、「ライブスコア」、その日の「ハイライト映像」、「写真」、「ニュース記事」などがアクティブに配信された。快進撃を魅せた日本の村上選手を筆頭に、世界を目指して異国の地を転戦する日本のサムライ・アスリートたちの写真や記事なども搭載されているので、是非とも日本のサーフィン・ファンだけでなく、さまざまなスポーツ・ファンのみなさんにもチェックしていただきたい。
次のWSL主催のビッグイベントは、いよいよ3月10日(木曜日)からウェイティング・ピリオド(開催期間)に入る「2016 Samsung Galaxy WSL Championship Tour(CT)」初戦となるMen’s 「Quiksilver Pro Gold Cost」、Women’s「Roxy Pro Gold Cost」となる。世界最高のエリート(ドリーム)・ツアーと言われる「CT」の開幕戦だ。11度の世界チャンピオンに君臨する「ケリー・スレーター(アメリカ合衆国)」や、女王「ステファニー・ギルモア(オーストラリア)」の長いケガから完全復活しての参戦など、多くの見どころが満載となるだろう。そして、我々日本人が一番の楽しみと期待に胸を膨らませるのは、アメリカ在住の日本人スター・サーファーである「カノア・五十嵐」選手のCTデビュー戦だ。
世界を目指し、世界を旅して戦いを続ける日本人サーファーたちに大きなエールを送りたい。
※WSL QS Men’s 6,000、Women’s 6,000『Australian Open Of Surfing 2016』イベントサイト:http://www.australianopenofsurfing.com/2016/live
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この記事を書いたライター
Tsuyoshi Nakajima
「WSL(World Surf League) Japan Regional」ツアーにおいて、2015シーズンまでイベントの「アナウンサー/キャスター/インタビュアー/コメンテーター」などを担当。数々のワールド・アスリート・コンペティションを目の当たりにし、イベントサイトのインターネット・ライヴ中継を通してワールドツアー・アスリート・サーファーたちのヒート(試合)を解説。伊豆をホームに持つサーフィン歴は30年を超え、地元の海において「子どもたちのためのサーフィンレクリエーション」なども主催。
サーフィンのディープな本質や、ワールドツアー・イベントから国内のアマチュア・イベント、How Toなど、サーファーだけではなく、すべての方々にサーフィンを楽しんでいただけるようなニュースをお届けします。
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