真冬をベストシーズンに!サーフィン用ドライスーツの正しい使用法
ライター: ario
ドライスーツの性能の進化
波乗りは大好きだが寒い冬は大嫌い。極寒の海、凍てつく車外での着替えを想像すると、どうしても海から遠ざかってしまう・・・そんな方も多いのではないだろうか?しかし、数年前から商品化が進んでいるサーフィン用のドライスーツを持っていれば話は別だ。セミドライスーツと違ってサーフィン中体がほとんど濡れない仕様のドライスーツ。最近ではどのメーカーのドライスーツも首回りの防水性能や素材などが大幅に進化し、より暖かく快適に真冬のサーフィンを楽しめるようになってきた。
冬場の着替えもラクで寒くない
ドライスーツはインナーを下に着るので、温めたインナーを車中で装着しておけば素肌を寒風にさらす事なく着替えることだってできる。体がほとんど濡れないのでサーフィン後の着替えも比較的ラクだし、体が冷えなくていい。冷えると腰や肩が痛くなってしまうという方にもオススメだ。ドライスーツがあれば、比較的空いていてコンスタントに波がある冬はベストシーズンへと早変わり。「サーフィンは俺にとってウィンタースポーツ」と豪語するドライスーツユーザーもいるとかいないとか。
ドライスーツの性能を最大限に活かす正しい着用法-6つのポイント-
そんなドライスーツの性能を最大限に活かすには、海水の浸入を最小限に抑える必要がある(防水性能が格段に上がっているとは言え、100%防水ではない)。そのためにドライスーツの正しい着用法、ドルフィンスルーやワイプアウト時のちょっとしたコツを知っておくのは悪い事ではないだろう。以下にドライスーツを使用する際のポイントを挙げていくので、ドライスーツの購入を検討している人も、既にドライスーツを持っているという人もぜひ参考にしてみて欲しい。
1. 浸水の多い”首周り”
ドライスーツにおいて一番海水が侵入しやすい場所は「首周り」だ。どのメーカーのドライスーツも、ネックリングにタートルネックのような裾の長いネック部分を折り返して挟み込む事で防水性能を高める仕様が一般的なのだが、それでもやはり首周りからの浸水が一番多い。そこで、ドライスーツを着終わったら●ネックリングやリブが首の正しい位置にあるか?●ネックの折り返しがきれいにネックリングに挟まっているか?を確認しよう。また、ファスナー付きドライスーツの場合はファスナーを最後までしっかりと閉めよう。
2. ”手首”のリストバンドは必需品
首周りの次に浸水しやすいのは手首から。ドライスーツを着用する場合、専用のリストバンドが欠かせない。ドライスーツの手首部分の仕様はメーカーによって異なるのだが、どのタイプでも手首の周りをリストバンドでしっかり閉めることで、ワイプアウト時などの浸水を防ぐ。ちなみにサーフウォッチを装着する場合は、時計がリストバンドの役目を果たしてくれる。また、おすすめしたいのはリーシュを付けていない方の足首にアンクルバンドを装着すること。ドライスーツはブーツ一体型なので足首から浸水することはないが、アンクルバンドは空気が足下に溜まりすぎないようにするための対策なのである。
↓手首にリストバンド、足首にアンクルバンドを巻く
3. ”エア抜き”は必須
ドライスーツを着用してサーフィンする際は、海水にエントリーした時「エア抜き」を行ってドライスーツ内の空気量を調節する必要がある。ドライスーツはスーツ内にある空気の層が断熱効果を発揮し冷たい海水や外気から体を守ってくれるのだが、空気量が多過ぎるとドルフィン時やワイプアウト時などに圧がかかってスーツ内の空気を吐き出し、その際にできた隙間から浸水してしまう。逆に空気量が少なすぎるとスーツが体にまとわりついてパドリングや体の動きが制限されてしまう。ではどのぐらいの空気量がベストなのかと言うと、ドライスーツを装着したときに自然とスーツ内に溜まった空気の20〜30%を目安にエア抜きをすると良いだろう。エア抜きの方法は簡単だ。エントリーの際、腹ぐらいまで海水に浸かったらスーツ内の空気が自然と上半身に集まってくる。そこで指をネックリングやリブに引っかけ隙間を作ってやるのだ。その際「ボオッ」と空気が抜ける音がすれば成功である。
4. ドライスーツ着用時の「正しい」ドルフィンとワイプアウト
サーフィン中に最も浸水しやすいのはやはりドルフィンスルーをする時と、ふいにワイプアウトしてしまった時だ。しかし、それらにも浸水を最小限に食い止めるちょっとした「コツ」がある。ドルフィンスルーをする時は、グッとアゴを引いて波をくぐるようにしてみよう。首の前側をしっかりブロックし、水を肩甲骨のあたりで受け止めるイメージだ。それから、やむなくワイプアウトするときは極力お尻や背中から着水するように。頭から水に突っ込むと大幅な浸水を許してしまう可能性がある。
5. ドライスーツに最適なインナーとは?
たまに「暖かいから」という理由でヒートテックをインナーとして着用しているサーファーを見かけるが、ヒートテックに使われているレーヨンは吸水性が高く乾くのが遅いため、万が一浸水してインナーが濡れてしまうと急激に体が冷えてしまう。レーヨンでなくても綿100%のTシャツなど、吸水しやすい素材はドライスーツ用のインナーには適していない。浸水の程度にもよるが、下半身のインナーも同様だ。ドライスーツのインナーに適しているのは、やはりウェットスーツメーカーが出している撥水性が高い化繊の起毛素材のもの。仮に浸水を許したとしてもインナーそのものは濡れず体が冷えないのだ。ロングスリーブ、半袖、七分袖など様々なタイプのものがあり、個人の好みや寒さへの耐性にもよるが、やはり袖が短い方が着脱はラクだ。最近ではドライスーツ用のソックスなんかも販売されているので要チェックである。
↓ドライスーツ専用のインナー
↓ドライスーツ専用ソックス
6. メンテナンスについて
ドライスーツの使用後は、毎回ウェットスーツ専用の洗浄剤で洗うのが望ましい。ドライスーツはブーツ一体型なので少し手間がかかるが、一度スーツの内側を洗浄して乾かした後、表に返してもう一度洗浄するとよいだろう。その際、首周りや手首から洗浄剤や水が内側に入らないように気をつけよう。多くのサーファーがシャワーを浴びるついでにスーツの表側を洗浄しているが、ドライスーツをベストな状態に保ち長持ちさせるには、このような2工程が必要である。ファスナー付きスーツの場合はファスナー部分の海水や砂を念入りに落とそう。また、ネック部分のパーツやネックリングはできれば毎年交換することをオススメする。使用頻度にもよるが、ラバーがヘタると動いた際に隙間ができやすくなるからだ。
ドライスーツはセミドライスーツを持っている人のプラス・ワンの装備品
いかがだっただろうか?とても暖かく快適なドライスーツはあれば重宝するギアだが、あくまでセミドライスーツを持っている人のプラス・ワンの装備品として考えた方がよい。決して安い買い物とは言えないが、それを承知でアイテムに加えれば真冬でもサーフィンへのモチベーションが圧倒的に高められること請け合いだ。それはつまり、一冬で一気に上手くなるチャンスを手にすることでもある。千葉以北をホームとするサーファーの皆さん、この記事を読んで少しでも興味を持ったなら、ぜひドライスーツの購入を検討してみていただければと思う。
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この記事を書いたライター
ario
オウエン・ライトの身長とロブ・マチャドの髪質を授かったが、残念なことにレギュラーフッター。三人の娘を育てながら、日々サーフライフバランスの実践を模索中。出没ポイントは千葉一宮。