【世界最高のサーファー「ケリー・スレーター」が驚異的なスキルを披露!】2015 Samsung Galaxy Men’s WSL CT #5『Fiji Pro』Round 2
ライター: Tsuyoshi Nakajima
Photo by worldsurfleague.com
世界最高峰のメンズ・サーフィンのコンペティションツアー「Samsung Galaxy Men’s WSL(World Surf League) CT(Championship Tour)」第5戦。Round 2は、スウェルアップして本来の姿を魅せた素晴しい「クラウドブレイク」のバレル・ウェーブにて開催された。
ようやく目を覚ましたクラウドブレイクでのRound 2において、最も際だったサーフィンを魅せたのは11度のMen’s世界チャンピオンに君臨する帝王「ケリー・スレーター(アメリカ合衆国)」。マシンブレイクのようなパーフェクトなコンディションになれば、おのずと1つ1つのターンの質はより明確になるために、世界最高峰の素晴しいワールド・スキルも明確となる。そのことを証明したのがケリーだった。
ケリーのRound 2の相手となったのは、世界屈指のバレル・ライダーとして名高い「ジェイ・デイビス(オーストラリア)」。Round 1において、エクセレント・バレルをスコアしてワールド・スキルを証明したデイビス。このヒートのケリーは、Round 1とは打って変わってヒート開始早々に猛チャージを魅せ、スタイル溢れる素晴しいクリーンなディープ・バレルによってエクセレントな8.77ポイントでスタート。さらにケリーは、ノー・プライオリティー(優先権を持たない)な状況からミディアム・サイズのセカンド・ウェーブをキャッチすると、アウトサイドとインサイドの2つのクリティカルなセクションにおいて、見事なボード・コントロールを披露してダブル・バレル(1本の波に2つのバレル)をメイクし、エクセレントに近い7.83ポイントをスコア。ヒート開始からわずか8分の間のケリー、ヒート・トータル16.60ポイントというエンジン全開の凄まじいスタートダッシュを魅せた。
ケリーとデイビス、どちらにも言えることは、コンペティション・ヒートでは「クイック・スタート(先制攻撃)」を魅せることは非常に少ない。だが、このヒートのケリーはレアなクイック・スタートを魅せた。ケリーにそうさせたのは、デイビスの秘めた底力。11度のタイトルを持つ世界チャンピオンが恐れる相手、それほどまでにデイビスがワールド・スキルを持つ危険な相手だと言うことが理解できるだろう。
そして、ケリーが改めて「11度の世界チャンピオン」だと言う事実を披露したのが、ヒートの後半に入った残り時間14分だった。「2ヒート前からサイドショア(横風)が強く吹きつけるようになり、セットのバンプ・セクション(風や流れによって波のフェイスを乱すコブ)に注目していたんだ。」と、後にヒート・ウィナーズ・インタビューで語ったケリー。ビッグ・セットのビハインド・ピーク(本来のピークよりも深い位置で、反対側のブレイクのピークになるような位置)かと思わせるような位置からドロップしたケリーは、「シャンデリア・バレル(強い風などの影響によって、シャンデリアのように乱れ降り注ぐようなバレル)」のディープ・セクションからプルインし、シャットダウンする長く巨大なバレルにスッポリと消えた。僕は、「これは絶対にメイクできるはずがない!」と観ていたのだが、長く続くシャットダウン・バレルの荒れた出口から見事に生還し、ほぼパーフェクトな9.93ポイントをスコア。「非常に厳しくて難しかった。」と、9.93の波をコメントしたケリー。ライブで観ていても明らかに無理だと思うような荒れたパワー・バレルで、おそらくフォーム・ボウル(バレルの中に吸い込む1番パワーあるボウル・セクション)は想像以上に困難だったはずだ。
ケリーが最初の世界タイトルを獲得したのが1992年で、今から実に23年前のことである。ケリーがツアーに居るのはもっと長いことになる。「帝王」とか「王者」とか呼ばれるには、それなりの由縁がある。「11度も世界タイトルを取ったから」ではなく、世界中から常にワールド・サーファーたちが誕生してレベルアップするコンペティションの世界において、「11度も世界タイトルを獲得できる」ことであり、その世界最高のサーフィン技術を、世界最高の波に乗って披露し続けている。それこそが、いまだに「ケリー・スレーター(アメリカ合衆国)」という人物が世界最高のサーファーである単純な由縁だ。
Round 2の詳しい結果や動画は以下よりどうぞ! ▶
http://www.worldsurfleague.com/events/2015/fiji-pro
※Samsung Galaxy Men’s WSL CT #5『Fiji Pro』Event site:
http://www.worldsurfleague.com/events/2015/mct/1236/fiji-pro
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この記事を書いたライター
Tsuyoshi Nakajima
「WSL(World Surf League) Japan Regional」ツアーにおいて、2015シーズンまでイベントの「アナウンサー/キャスター/インタビュアー/コメンテーター」などを担当。数々のワールド・アスリート・コンペティションを目の当たりにし、イベントサイトのインターネット・ライヴ中継を通してワールドツアー・アスリート・サーファーたちのヒート(試合)を解説。伊豆をホームに持つサーフィン歴は30年を超え、地元の海において「子どもたちのためのサーフィンレクリエーション」なども主催。
サーフィンのディープな本質や、ワールドツアー・イベントから国内のアマチュア・イベント、How Toなど、サーファーだけではなく、すべての方々にサーフィンを楽しんでいただけるようなニュースをお届けします。