笑顔がないから?外国人サーファー視点で見た日本のサーフシーン

ライター: 有本圭(KEI ARIMOTO)

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紅一点 赤いビキニの女性サーファー

とある日の出来事、バリ島は快晴でサーファーの姿も決して多くなかった。
波のサイズは肩からオーバーヘッド。
ほぼ無風のパーフェクトなコンディションだった。

そのセッションでは『彼女』を除いて全員が男性だったこともあり、彼女の存在は際立っていた。
真っ赤なビキニも良く似合っていたし、少し怖がりながら波に乗っている姿もなんだか愛らしかった。

「どこから来たの?」
ゲッティングアウトするタイミングが重なった時に自然に声をかけた。
いやいや、ナンパではありません。
断じてナンパではありません。
なんとなく目が合って、そういう流れになったにすぎない、と言い訳しておこう。

「ニュージーランドよ」
彼女は笑顔で答えてくれた。
「ボクは日本から」
軽く自己紹介。
「私、日本大好きよ」
「え?なんで?」
いきなり日本を好きだなんて、なんだか自分のことを好きと言われているようでドギマギしてしまった。
「なんで? ・・・ えーと、私今日本に住んでいるのよ」

ほお、このニュージーランドからやってきた娘さん、日本に住んでいるという。
これはまさにチャーンス。
ん?
なんのチャンスだ?
いやいや、この場ではそんな下心はなかった、という正しいサーファーの姿を装っておくことする。

日本人は怒ってる?外国人から見た日本のサーフスポット

なんとなくそんな流れでピークまでの長い距離をパドルしながら会話を続けた。
「バリはどう?」
「バリは最高ね、みんなスマイルだしいい雰囲気よね」

「日本ではサーフィンするの?」
そうボクが聞くと彼女は一瞬表情を曇らせた。
「するんだけどね・・・ なんだか日本の海って緊張するわ」
「え? 緊張? どうして?」
「だってなんだかみんな怒ってるでしょ」
「え、そうかな。怒っているように見える?」
「もしかしたら私が彼らの邪魔しちゃっているのかもしれないんだけどね」
と肩をすくめた。

日本人としてなんとなく恥ずかしい思いと申し訳なさで複雑な心境になってしまった。
せっかく楽しもうと海に入った彼女にそんな印象を持たれてしまったなんて。

確かに日本のポイントではバリと比べると圧倒的にスマイルが少ないのかもしれない。
それが彼女の目には『怒ってる』というふうに映ってしまったのだろうか。
それとも彼女のマナーに問題があったのか。
真相はわからない。
しかし日本の海でニュージーランドからやってきた女の子がそんな風に感じてしまったことは紛れもない事実だ。
もしかすると我々日本人はその真面目さ故に誤解を受けてしまうのかもしれない。外国人からすると怒っているように見えてしまうようなのだ。



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この記事を書いたライター

有本圭(KEI ARIMOTO)

有本圭(ありもと けい)
バリ島在住のフリーライター。2000年よりプロロングボーダーとしてコンテストで活躍する傍ら、旅行会社からのサポートを受けながらサーフボードと抱えて世界中を旅してまわる。プロツアーを引退した後、経営者としてのキャリアを経て、2012年に家族とともにバリ島へ移住。現在、ライターとしてサーフィンの魅力を伝えていくことに加え、ライフスタイル、バリのカルチャー、環境問題、家族、仕事などをテーマに幅広く執筆活動に励んでいる。
・Instagram→@keiarimoto
・Blog→sw-players.com/