2028年ロス五輪パラリンピックに向けたパラサーフィン選手達の想い

ライター: WAVAL

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パラサーフィン

「年とっても、障害あってもできるという事を身をもって伝えたい。それがこういう体になった僕らの使命だと思っています」

2028年ロサンゼルスパラリンピックへの追加検討競技となっている今後注目のパラサーフィン。先日開催されたインタースタイルで、一般社団法人 日本サーフィン連盟(NSA)による『2023年度 日本サーフィン連盟 パラサーフィン事業説明会』が開催され、パラサーフィン普及発展に向けた事業計画や選手紹介等が行われた(関連記事:2028年ロサンゼルスパラリンピックでサーフィンとクライミングの2競技が追加検討へ)。説明会には2022パラサーフィンISA世界戦に出場した5名の日本代表選手達も登壇し、それぞれの自己紹介や想いが語られた。

1. ISA世界大会に参加した5名の選手紹介

1.伊藤建史郎 選手

STAND2クラス 1977年5月22日生
伊藤建史郎

「右足の膝から下を欠損しています。自力でパドリングして波に乗るという基本的なサーフィンのそのままのスタイルのクラスです。2016年から出場していて今回6回目となり、昨年は4位でした。パラサーフィンは障害度合いも多種多様、様々な選手が出場します。今後大会で全国を回るので、パラサーフィンの普及発展の為、色々とご協力を宜しくお願い致します。」

「この機会にサーフィンは誰でも自由に海は楽しめるという事をアピールして行きたいです。」

2.高尾千香子 選手

STAND1クラス 1980年11月13日生
高尾千香子

「私は肘より下が欠損しており、STAND1は主に上半身に障害のある方が出場するクラスです。私は先天性の欠損のため子供の頃から障害と付き合っているので日常生活には支障は無いですが、サーフィンにおいてはうつ伏せの状態から立ち上がったり、パドルをする時にハンディがあるということでアダプティブとしてサーフィンをしています。

私は片腕ですが、世界で同じクラスの選手は両腕を欠損していたり、麻痺をしていたり様々で、各障害に適応させてサーフィンをされています。私はここ2年、世界大会に出場させて頂いていますが、私が出場した2021,2022年においては女性選手が私1人でした。これからパラサーフィンが認知されて女子選手が増えることを強く望んでいます。」

「競技としてパラサーフィンを始めてから応援サポートしてくれる人が増え、周りに助けてもらってここまで来ているので、期待に応えて行きたいです。また世界に出て様々な出会いや気付きを得る事が出来ました。私はあまり障害者として育って来なかったこともあって、新たな障害を持つ人がサーフィンを始めるだけでなく、健常者の方もこの世界に触れる事で大きな気付きや世界が広がって行くと思っています。パラリンピックになることで、多くの人にパラサーフィンの認知が広がる事を期待しています。」

3. 藤原智貴 選手

PRONE2クラス 1974年6月21日生
藤原智貴

「私は胸の半分から下がまったく動いてません。私の出場クラスであるPRONE2は、アシストしてくれる人が2人いて3人でチームを組んで出場します。1人の人に乗せてもらい、波に乗ってからは1人で乗ります。もう1人がキャッチャーと言って、乗った後にキャッチしてくれて、この3人で競技を行います。2017年から出場しており、昨年は3位でしたが金メダルを目指していたのでまだまだ頑張りたいです。

私は両手の握力がないので指が動かせません。動かす事ができる、肩と腕と手首でサーフィンします。体幹がきかないですが、波に乗ってしまえば自由にサーフィンできる。車椅子だと海に行くもの困難なのですが、海外に行って感動した事が、ビーチ環境の素晴らしさです。日本のビーチでも、車椅子ユーザーや様々な人が海に関われる環境を作って行きたい。車椅子ユーザーはどこでサーフィンできるのか探すのも大変ですが、そういった日本の海の環境作りもより良くしていきたいです。」

4.小林征郁 選手

KNEELクラス 1980年1月2日生
小林征郁

「私は正座で乗るKNEELクラスで、ここは私のような脊損腰椎損傷だったり、片足切断する選手だったりいます。選手人口もレベルも上がって来ているので、この機会に様々な方に知ってもらいたいです。2028年パラリンピックをと1つの目標として目指して行きたいし、世界的にも盛り上がっている。選手人口も増えてますし、認知も広がる事は素晴らしい事ですので、1つ1つやれる事をやって行きたいです。」

5.勝倉直道 選手

STAND3クラス 1964年3月2日生
勝倉直道

「洋服着ると健常者に見えますが、30年前に交通事故でバイクが燃えて死にかけています。なんとか立ち直りましたが背中の皮膚を十何回も全身麻酔を打って埋めており、脱ぐととんでもない体なんです。皮膚移植の体なので、筋肉と貼り付けた皮膚が癒着していて体のあちこちが曲がらなくて動かない。左の足首は固定されたスキーブーツを履いている状態なんです。歩くのはつま先で歩いていて、サーフィンはパドリングは普通で体幹も取れるけど、足だけが動かないので回して立ったりとか、自分で考えながら20何年間サーフィンやってました。

そして2016年に小林征郁と伊藤建史郎が世界戦に出たのをインターネットで見て、そこに出たいという気持ちになって2人に会い、2017年から参加させて頂いています。何度もボードを変えていて、ロングボードしか乗れないと思っていたけど頑張ってショートボードにも乗れるようになり、2020年の時に3位、去年は4位でした。」

「海のバリアフリー化が全てで、健常者と障害者との区切りのない国境の無い、みんなが楽しめる世界が来たら良いなと思っています。私はこの中で最年長で次の五輪が最後だと思う。みんなに道標と後継者に、年とっても、障害あってもできるという事を身をもって伝えたい。それがこういう体になった僕らの使命だと思っています。」

2. 普及発展に向けたNSAのパラサーフィンへの取り組み。2023年度事業計画

9/3には世界戦代表選考会となる『NSAパラサーフィン全日本選手権』が千葉県白子町 剃金(そりがね)海岸で開催。12月にはカリフォルニアで開催される国際サーフィン連盟主催の『ISAパラサーフィン選手権』に日本チームも派遣される。また4/22-23に静波ウェブプールでパラサーフィンのジャパンオープンが開催されることを発表。NSAはパラサーフィンの普及発展に向け活動の幅を広げていく。



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