サーフィン後に1つゴミを持ち帰るサーフワンハンドのスタンスから考える海のゴミ問題
ライター: masaaki
オーストラリア グリーンマウント
物理的なゴミの減少や、サーファーの意識へも働きかける活動にもなる、サーフワンハンドとは
台風などで海が荒れた後、入江などの海岸では驚くほどのゴミが漂着します。サーフィンをしていると、海は自分のテリトリーであり家や部屋と同じようにいつも綺麗にしていたいと願います。自然環境問題について常に考えるようになります。
世界的な大会や国内で開かれている試合でも、プロ選手たちがヒート後、海から上がってくる時にゴミを持ってくる姿を見かけることがあると思います。こうしたサーフィン後、片手にひとつゴミを持ち帰る運動を「サーフワンハンド」「ワンハンドビーチクリーン」などと呼び、世界中のサーファーが実践しています。
1人が拾えるゴミの量は少ないかもしれませんが、世界中のサーファーが毎日どこかでゴミを拾うことで、物理的なゴミの減少の他、サーファーの意識へも働きかける活動になっています。
海のゴミの正体は?
海に漂流して海岸に漂着するゴミのほとんどがプラスチックだと言われています。浜辺で捨てられたペットボトルやレジ袋、不法投棄されたポリタンクなどのプラスチック容器、発泡スチロール、プラスチック製品を作る時に用いるレジンペレットなどが主なものです。最近では環境問題が取り沙汰されていますので、海水浴場や浜辺では、ゴミの持ち帰りが推奨されています。
しかし、海のゴミは海岸線に捨てられたものだけではなく、山や平地部で捨てられたゴミが川から流れ込んできたり、プラスチック粒子を用いた歯磨き粉や洗濯洗剤が生活排水から流れ込んできたりしているのです。
特にマイクロプラスチックと言われる5mm以下のプラスチック粒子は、それを摂取してしまうプランクトンや魚などの海洋生物と、それらを捕食する私たち人間にも健康被害を及ぼすことが問題視されています。
プラスチックは自然界に存在しているものではなく、人間が経済発展のために作り出したものです。海に流れ込んだプラスチックゴミは、半永久的に無くならず自然のかえることはありません。このままでは、世界中の海で蓄積されたプラスチックゴミが、魚よりもゴミが多くなるとも言われています。
いまの子どもたちが大人になった時、海はゴミだらけで人が近づけない危険な場所になり、「むかし海は青く、人は海で泳ぐことができたのだ」「サーフィンはむかしは海で行っていたんだ」などと言っている暗黒の未来が来るかもしれません。
世界の環境改善への取り組み方法
想像をはるかに超える量のゴミが海に流れ出している現状を改善するためには、ゴミになるものを作らない、使わないなどの「蛇口を締める」的な取り組みが急務です。フランスやインドなどでは、プラスチック製のレジ袋を法律で禁止しています。またフォークやスプーン、コップなどの食器類もプラスチックでは作らない取り組みが世界中に広がっています。
大量消費、大量廃棄を生み出した資本主義による経済発展は、地球規模の環境破壊という弊害を生み出しました。
プラスチック製品をリサイクルするためには莫大な設備投資と、二酸化炭素を大量に排出する装置が必要となってしまいます。
人間が科学的に作り出した物質が地球上の生態系を狂わし、負の遺産を次世代に残そうとしている現代の消費システムを改善することが、海のゴミ問題を含む環境問題の解決に導くことになるのではないでしょうか。
意識改革から始めよう
全国のサーフポイントや海水浴場では、定期的にビーチクリーン活動が行われています。参加したことがある人は同じように思ったかもしれませんが、定期的に清掃をしてもゴミが減ることはありません。毎月のようにゴミを拾っているにもかかわらず、次から次へとゴミが流れ着きます。毎日のようにサーファーがゴミを拾っても、海からゴミが無くなっている実感はないのではないでしょうか。
では、清掃活動は無意味な運動なのかというと、そうではないと思います。サーフワンハンドもビーチクリーンも「海をきれいにしたい」という気持ちから行われていることです。その意識が環境問題を考えることになり、ゴミを出さない、ゴミを捨てない、ゴミになる製品を使わないなどの啓発活動や生活改善へと繋がっていきます。
海を愛する人たちが、自然に生かされていることに感謝して、人類が利己的な経済発展により汚してしまった海を、少しでも綺麗にしたいと願う意識が連鎖することが、問題解決の糸口になるのではないかと考えます。
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この記事を書いたライター
masaaki
サーフィンの魅力にとりつかれ海の目の前に移住し、スローライフな日々を過ごしています。海辺での生活の楽しさや、初心者にもわかりやすくサーフィンの魅力を伝えます。