サーフヒーロー『五十嵐カノア』両親 家族や彼女との絆 “カノア百科”
ライター: Mg
両親の母国・日本で2020年東京オリンピックのサーフィン金メダルを目指す。日本の旗を上げて最高の親孝行を―。
サーフィンのいち選手が、野球やサッカーなどの国民的スポーツと肩を並べてTVのスポーツ番組に特集されることは、少なくても表舞台に五十嵐カノアが出てくる以前の日本では、そう考えられないことだったのではないでしょうか。2020年の東京オリンピックに、歴史上初となるサーフィン競技が採用決定となってから、世界ツアーへ日本人の初参戦であることで、何度となく日本のニュース番組等で取り上げられている五十嵐カノア。2016年、日本人初・史上最年少での世界ツアーデビューした五十嵐カノアはもう、サーフィン界の枠を超えたヒーローで、今後もさらに勢いは増していくのでしょう。そんな五十嵐カノアの魅力にあらためて迫りたいと思います。
「両親の母国で金メダルを獲り親孝行」目標とルーツ
そんな五十嵐カノアのことをご存知の方は多いと思いますが補足までに、アメリカ・カリフォルニア在住でありつつ、ご両親とも日本人で、本人も生粋の日本人。日本は毎年訪れていて、日本に対する思い入れがあります。ワールドチャンピオンシップにおいても、背番号は名前の「五十」嵐からきている50。好きな番号を自由に選べる中で、カノアは自分のいちばん大切な数字として、この選択。自分の中にある「日本」をも背負って挑んでいる姿勢にグッときます。→『カノア五十嵐』選手のWSL CT背番号は『50』に決定!番号の由来とは?
両親と五十嵐カノア
両親は元プロサーファーであり、そして陰ながらカノアのサーフィンへの貢献は計り知れません。サーフィンの英才教育のため日本からアメリカに拠点を移し、子どもであるカノアの理想的な環境を作りました。世界ツアーを共に回ってくれ、また自分をよく知り、アドバイスを送り、いつも支えてくれる家族にカノアも常から感謝していて、深い絆のある両親の母国、日本で金メダルを獲り、日の丸を掲げて親孝行したいという願望を番組内で明かしています。
カノアのルーツを辿る
アメリカでは自分の中で日本人との意識が芽生えたのと同時に、日本も自分の存在に気付き始めてくれているのを小さい頃から感じて育ったカノア。毎年きていた日本では祖父母がいつも「おかえりなさい」と温かく迎えてくれ、自分のホームのように思ったし、自分がプロサーファーを目指していると知っている日本のみんなも、自分をたくさん応援してくれたことをよく覚えていています。
【カノア五十嵐のルーツ】ドキュメンタリー動画#GoodLuckKanoa
日本にくるたび、尊敬していた祖父のお墓のある東京都調布市・深大寺を訪れ手を合わせます。
カノア百科
そんなサーフィン界の枠を超えたヒーロー、五十嵐カノアについていろいろとお知りになりたいことがないでしょうか。情報をカノア百科としてお伝えします。
家族は?
父、母、(長男)カノア、(次男)キアヌ。全員サーファーです。名前であるカノアはハワイ語で自由の意味、キアヌはハワイ語で山からの清々しい風の意味も持ちます。→ハワイ語で素敵な意味をもつ子供、赤ちゃんの名前・命名20選
Kanoa Igarashi Instagram
弟・キアヌとの画像。2015年7月クイックシルバー・ジャパンにて。
Quiksilver
学校の成績は?
15歳のときに2年飛び級で高校を卒業。サーフィンだけができればよいのではない、またサーフィンには頭脳も必要、というご両親の方針に努力で応えているカノア。成績も優秀で頭脳明晰、サーフィンのスキルもばつぐんで、文武両道です。
彼女は?
笑顔がチャーミングな彼女、プロサーファーでビラボンのライダー、ポルトガル国籍のテレサ・ボンヴァロ(Teresa Bonvalot)。カノアがワールドチャンピオンシップツアー(WCT)入り以前からのカップルということになります。お似合いで爽やかな2人ですね。彼女はいつも自分を笑顔にさせる存在であることや、世界中を飛び回る多忙さの中でも彼女を想う気持ちをInstagramに投稿するなど、2歳年下の彼女との仲の良さが伝わってきます。
*2017年1月時点の状況です
カリスマの理由は?
幼少期から海に通いつめ、そのときからの懸命な努力もあり、飛び抜けた実力を備え、頭脳明晰で、ここぞという場面での勝負強さも備えている選手ですが、そのほか、
●血統
まずプロサーファーであった父と母という最高の血統に生まれます。なお、母方で実際のサムライの血を引いています。
●異彩を放つ
アマチュアUSAチームのコーチに見初められ、最年少9歳で強化選手に推薦されています。6歳時点ですでに板はスポンサーのステッカーだらけだったエピソードも。
●兄弟の絆
2016年、準優勝をおさめた世界戦のパイプラインマスターズでは弟キアヌの助言が陰に。
というような、人並み外れた努力があるにしろ、カノアの活躍はそれだけではカバーしきれない天性の要素も多く絡んでいるようです。本人から派手に自分の売り込みをするのでもないのに、周りがグイグイと持ち上げる、持ち上げたくなる、そういう周囲から押し上げられる力や強運というような徳が自然に際立ちますね。
経歴は?
・1997年:10月1日サンタモニカで誕生
・2000年:3歳の誕生日にハワイで初のサーフィン。その日から立ててサーフィンに夢中に
・2004年:6歳。「Kids For Clean Waves」サーフィン大会に初出場初優勝
・2007年:アマチュアUSAコーチだったジョイ・ブランに才能を見出され、推薦で最年少9歳、USAサーフTEAMに入る
・2009年:トム・カレンが持っていたNSSA年間最多優勝回数20勝をさらに上回る30勝を出して記録更新
・2010年:12歳。NSSA全米ナショナルチャンピオン獲得。NSSAミドルスクール(ボーイズ)クラス・NSSAエクスプローラー(ボーイズ)クラス全米チャンピオンで三冠王に
・2011年:2月クイックシルバーと契約
・2011年:12歳。VQS「ボルコム世界選手権」ボーイズクラス世界チャンピオンに
・2012年:13歳。ASPプロジュニア(U-21)「DNAエナジープロ」ASP(WSL) 初優勝
・2012年:リップカール「グロムサーチ」でUー16とUー14の2ディビジョンを制覇。ダブル優勝
・2012年:11月リップカール「グロムサーチ」全米ナショナルチャンピオンシップで優勝
・2012年:14歳。USA Championship U-18で優勝。最年少記録
・2014年:10月 ASP「Shoe City Pro 2014」優勝
・2015年:WSL「ハーレー・オーストラリアン・オープン」プロ・ジュニア優勝
・2015年:ポルトガル「Boonman Air Show」エアリアルコンテスト優勝
・2015年:サンディエゴ「2015 AM SLAM SURF SLAM」優勝
・2015年:WSLメキシコ「Los CABOSオープン」プロ ジュニア優勝
・2015年:WSL「バージニアビーチ「VansPro」優勝
・2015年:WSL「ブラジルマハロ・サーフ・エーコ・フェスティバル」優勝
・2016年:18歳。史上最年少、日本人初でWSLワールドチャンピオンシップツアーに参戦
・2016年:開幕戦「クイックシルバー・プロ・ゴールドコースト」9位
・2016年:最終戦 「ビラボン・パイプマスターズ」2位
・2016年:WSLワールドチャンピオンシップツアー年間最終ランキング 20位。初参戦のワールドチャンピオンシップツアーでも1回戦敗退は1度もなし
・2017年:WSL QS10000「VANS US OPEN of SURFING 2017」優勝
・2018年:国籍を日本に変更
・2018年:ISA World Surfing Games 準優勝
・2018年:WSL QS10000「VANS US OPEN of SURFING 2018」優勝
・2018年:WCT3年目にしてQSランク1位、CTランク10位となる
親友イズキール・ラウの念願のCTクオリファイも決定した、カノア準優勝の2016パイプラインマスターズ。クオーターファイナルでの9.93ptエクセレントライド(※10ptが満点)動画です。
身体プロフィールは?
身長:180cm
体重:75kg
足のサイズ:US10(28cm)
2016年3月7日時点 Quiksilver
視力は良い方で、好きなサーファーはダスティ・ペイン、食べ物はとんかつ、シチュー、焼肉など日本食は何を食べても美味しいといいます。
得意言語は?
英語、ポルトガル語、日本語、スペイン語、フランス語
ここにあるラテン系言語であるポルトガル語、スペイン語、フランス語は英語とも文法が似ていて、いずれかを知っていると次の言語の習得がしやすいともいいます。しかし10代にしてすでに5か国語を使い分けられるとは、カノアの努力家の面が、サーフィンだけではなくこの言語の豊富さからも見えます。日本とは環境が違うとはいえ、これらはただ身に付くものでもないはずですので。カノアによると日本語が世界でいちばん難しい言語だと思う、とのこと。
サーフィンの明るい未来のひとつの象徴・五十嵐カノア
日本では2020年東京オリンピックに向けた強化選手チーム「波乗りジャパン/NAMINORI JAPAN」の発足などサーフィン界の動きも目まぐるしく変わり、世間の風向きがサーフィン方向に吹きこんでいる今、時代の象徴として取り上げられる機会も格段に増している。五十嵐カノアはその若さで世界トップレベルの試合で戦い、オリンピックを前にサーフィンの新しい時代の幕開けを示す希望と明るい未来のアイコン的役割をも担っています。
Go!カノア。日本中がいつも応援しています。
Kanoa Igarashi Instagram
Photo by Quiksilver
Photo by Kanoa Igarashi Instagram
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この記事を書いたライター
Mg
海の街に暮らしています。 海をベースに、人と自然の交わるところで日常がより良くなるような情報を発信していきます。