ジョンジョン・フローレンス直伝『サーフィン上達』13のコツ

ライター: ario

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世界No.1サーファー、ジョンジョン・フローレンス

ジョンジョン・フローレンス_カーヴィング

2015年のSURFER POLL AWARDでタイトルを総ナメし、リリースしたばかりの自身のサーフフィルム「View From A Blue Moon」(▶【ジョンジョン超ハイクオリティ映像】「View From A Blue Moon」iew From A Blue Moon)も大好評のジョンジョン・フローレンス

2015年CTでは怪我の影響(と、フィルムメイキングにフォーカスし過ぎたこと?)もあって満足のいく結果こそ残せていなかったが2016年は復調!今や人気と実力を兼ね備えた世界一のサーファーであることは間違いないだろう。

常に最先端を行くラディカルなアクション。彼にとって「庭」のパイプラインで培われたチューブライディングテクニック。どこを切り取ってもジョンジョンのサーフィンは我々一般サーファーから見たら異次元以外の何者でもない。一体全体何を意識し何を実践したらあの境地に辿り着けるのか?気になる方も多いと思う。ありがたい事に、ジョンジョン本人がそれを語った記事がある。STAB MAGの「13 codes to improve the way you surf, with John John Florence」で、ジョンジョンはサーフィン上達には欠かせない、パドル法から波待ちの彼流テクニック、そしてサーフィンに対する心構えまで余すところなく披露している。以下にそれらを紹介してみよう。

01.ダックダイブ(ドルフィンスルー)について

少し前に、ジョンジョンの行うダックダイブのトレーニング映像が話題になった事がある(▶ジョンジョン・フローレンスの巧みで力強いドルフィンスルーから学ぶ)。ジョンジョンはこのダックダイブを「ニューヨーク・シャッフル」と名付けているが、「あれはぶっちゃけ、遊びでやってるだけなんだ」と語っている。

「以前デカい波のときアレをやったんだけど、いつもは大抵“ヤバい、デカいの来た!”と思ったら、とにかく深く潜ろうと考えるだけだよ。多くのサーファーが足を使ってボードを沈めるけど、僕はいつもヒザを使うんだ」とジョンジョン。

まず角度を付けてノーズを沈め、それからヒザを使ってボード全体を沈め、さらに体全体で水中にボードを押し込む。この状態から、平泳ぎのキックの要領で波の下を推進すればニューヨーク・シャッフルになるという訳だ。実際の動きは上記リンクの動画で確認できるが、やはりいきなりできるほど簡単なものではない。動画内でジョンジョンがコメントしているが、これを体得するには体幹が非常に重要となってくる。

ちなみに、ドルフィンスルーの際は目を開けておくべしと言われた事がある方もいるかも知れないが、ジョンジョンは海水で目が赤くなるから開けないそうである。

ジョンジョン・フローレンス_ダックダイブ

02.パドルについて

「パドルは長い間サーフィンしてれば自然に身に付くものだよ〜」とジョンジョンは言うが、 具体的には一体何が自然に身に付くのかが我々一般サーファーの知りたいところだろう。ジョンジョンはパドルする時、指は軽く閉じるそうだ。「僕は腕が長いから、けっこう遠くに腕を伸ばす。水の中ではボードの下を真っすぐ後ろに向かって掻くんだ」とジョンジョン。パドルはひじを高く上げるべきという教えも見かけるが、ジョンジョン流では「ひじは曲げずに、遠くへ腕を伸ばす」ということだ。

03.波の選び方について

「ウェーブセレクションについては特に秘訣みたいなのはなくて、経験とサーフィンするポイントに慣れることで身に付くよ」とジョンジョン。「経験と慣れ」と言っても、何も考えずにそこにいるだけなのは感心しない。

選波眼を鍛えるためには、まずラインナップで一番上手いサーファーを観察してみよう。上手いサーファーがどこで波待ちをし、どんな波に乗るのか。乗った波で何をしかけるのか。そしてそのサーファーの真似をすることが重要だ。「海の中では100%完璧なウェーブセレクションができるようになることは絶対にあり得ないけど、上手いサーファーを見ていれば、波のクセとかボトムの形状が徐々に分かって来るはずだよ。彼らがどんな波で何をするかもね。岸から観察するのも効果的なんだ。

難しい波のセッションってあるよね?でもそういう時って、波に乗って、インサイドでしばらく捕まって、それでパドルバックした時にはどこで波待ちすべきか分かるようになっているものなんだよ。だって、しばらくインサイドにいたおかげで、違った視点で波を見れるようになるから」

04.そのポイントを熟知すること

次に来る波はどんな波か?どこで割れるか?100%的中させることは不可能かも知れないが、そのポイントを熟知することで、波はある程度予想できるものになる。ジョンジョンはチョープーの例を挙げて解説している(我々にとっては縁遠い例だが……)。「チョープーのウェストボウルは、リーフの形状とどこで波待ちするべきかを知る事が大切なんだ。西側の波はバレルが大きくてめちゃくちゃ速い。南側の波はリーフに添って割れる長いバレルになるのが感じられる。西側の波はチャンネルからやって来るし、南側の波は上から来る……こういうのは全部、そのポイントで何度も何度もサーフィンするうちに覚えていくものなんだ」

05.ワイプアウトの仕方を覚えること

「これは覚えておいた方がいいよ」とジョンジョンは言う。怪我のリスクを軽減するために、特にエアの練習に取り組みたい人は必修項目ではないだろうか。「波にもよるけど、水深30cmみたいなめちゃくちゃ浅いところでエアするとき、僕は“ヒトデ”って言ってるんだけど、手足を広げて真っ平らになるようにするんだ。そうすれば水面から沈む事はない。できればお腹から水に落ちるのがベストだね。

そんなに浅くはないけど波がデカい時にワイプアウトしたら、パニクらずにとにかく落ち着くこと。むしろもみくちゃにされるのを楽しむぐらいで!」ジョンジョンは大きな波でワイプアウトしたときはジェットコースターに乗っていると思うようにしているらしい。

ジョンジョン・フローレンス_バックサイドエアリバース

06.基本に立ち返ろう

いつだって基本に立ち返ることはプラスになる。「波の色んな部分に乗ってみること」とジョンジョンは言う。自分はもうできると思っているテクニック、たとえばフローターやカットバックのようなシンプルなテクニックだって、仕掛ける波の形やラインによって無数のやり方があるのだ。そしてあなたはそのほとんどをまだ知らないと言っていい。

ジョンジョンでさえ、一つ一つのテクニックにまだまだ新たな発見があるらしい。「フローターってヤバいよね!ある日フローターのフッテージを見てたんだ。めちゃくちゃ興味深かったよ。バレルの上で仕掛けるようなフローターとかね」もしもあなたが伸び悩んでいるなら、もう一度ひとつひとつのテクニックをイチから見直してみよう。何かを変えるヒントが見つかるかもしれない。

07.楽しむ事=上達である

もしあなたがコンペ志向のサーファーでないとしたら、上達に対してプレッシャーを感じる事は何の意味もなさない。とにかく楽しめるかどうか。それが最も大切なことだ。

「僕は今日まで、ただとにかく楽しんで来た。毎日違う技を試し、違うラインを試してきた。僕は一度も“カットバック上手くならなきゃ”とか“ボトムターンのときの後ろの手をこうしなきゃ”みたいな事を考えた事はないよ」とジョンジョン。

「最近多くのキッズたちがマジになりすぎているのを見かけるよね。もっと楽しまなきゃ。僕はジムや陸上トレーニングの類いに諸手を上げて賛成することはできないな。陸で擬似的にサーフィンする暇があったら海に行った方がいいよ!」

08.自分のサーフィンを観ること

我々一般サーファーには専属のカメラマンがいる訳ではない。しかし、本気で上達しようと考えているのなら、家族、友人、彼女など、誰かにカメラマンになってもらえるよう頼み込むべきだ。頼める知り合いがいないという人には「Solo Shot(ソロショット)」という便利なギアもある。

(Solo Shot関連記事:あなたのサーフィンを計測&動画編集する『トレース』

「自分自身のフッテージを見るのは100%いい事だよ」とジョンジョンも主張している。自分のサーフィンを客観的に見る事によって、何がよくて何がダメか、ちょっとしたミスや、なぜそのミスを犯したかが分かる。

またジョンジョン曰く、ビデオはスタイルを矯正するために役立つだけではなく、「これメイクできたらヤバかったな。よし、もう一度やってみよう」と思うこと自体が上達するためにかなり効果的なのだとか。

09.競争心が煽られるライバルとサーフィンすること

「これはとっても大きいよ」とジョンジョン。「自分を奮い立たせるサーファーと一緒にサーフィンすべきだね。そいつがデカいバレルをメイクしたら、自分はもっとデカいのをメイクしてやると思っちゃうような……フリーサーフィンにおける競争心だよ」ジョンジョンはきっと、ジェイミー・オブライエンを頭に浮かべながらこの発言をしたに違いない。ジョンジョンの場合はスーパーハイレベルな領域での話だが、同レベルのサーファー同士で刺激しあうことは、あなたの限界をプッシュしてくれることにつながるだろう。

ジョンジョン・フローレンス_ロデオフリップ

10.ボードを知ること

どんなボードが自分に合っているかは、サーファーそれぞれ違う。体形も違えば目指すサーフィンのスタイルも違うだろう。だから、できればシェイパーにそれらを直接伝えられる方がいい。ジョンジョンの場合は子供の頃から変わらずジョン・パイゼルにボードをシェイプしてもらい、彼には率直な意見をぶつけられるという。

信頼できるシェイパーと密にコミュニケーションを取れる環境があれば、マジックボードを手にする確率も上がる。つまり、上達への近道となる訳だ。ジョンジョン曰く、海で自分より上手いサーファーや目標としているサーファーがどんなボードに乗っているのか観察し、そこからヒントを得ることも、ひとつのキッカケとなるということだ。

11.「できる」と信じること

「僕は新しいトリックに挑戦する時、100%できると信じてやるよ」とジョンジョン。これはどのスポーツでも共通のメンタルだろう。セルフイメージを高めることが重要なのだ。「僕はどんなトリックだって絶対できると思ってる。でも、『いいセクションがあれば絶対メイクできる』と思っても、そのセクションがなかったりするのがサーフィンなんだけどね」

12.実践あるのみ

「個人的には、あまり下準備的なことはやらないんだ。とにかく実践あるのみ。試してみてどうなるか。案ずるより産むが易しだよ」とジョンジョン。「07.楽しむ事=上達」でも述べられているように、サーフィンはサーフィンすること自体が最高のトレーニング。ましてや一つとして同じ形がない波が相手だから、とにかくできる限り海に入る事が上達への近道となる(もちろん、それができたら苦労はしないという人もいるだろうけれども)。

13.常に新鮮な気持ちでいること

「でも気を付けて。100%すべての時間をサーフィンの事だけ考えていると、やがて疲れ果ててしまうんだ」とジョンジョンが言うように、気分転換できる他の趣味も持っておいた方がいい。ジョンジョンの場合、写真撮影をはじめスケボー、釣り、セーリングなど、良い気分転換の方法をいくつも持っている。行き詰まったら、気分転換をする。

(関連記事:【ジョンジョン・フローレンス】『趣味』『夢』を語る

けれども、他人のサーフィンを観たりサーフムービーを観ることは続けた方がいい。なぜなら、優れたサーフィンを観るといつでもエキサイトできるからだ。そして再びサーフィンしたくなる。オンとオフの良いバランスを見つけて、常にサーフィンに対して新鮮な気持ちを持ち続ける事が大切なのだ。

ジョンジョン・フローレンス_スケボー


いかがだっただろうか? ただし、この法則はある意味「取り扱い注意」である。ここまで読んだ方なら感じていると思うが、ジョンジョンはすべてのスキルについて基本的には「海で自然と身に付くもの」という見解を示している。

ジョンジョンは物心ついたときから海で1日の大半を過ごし、実際そうやってスキルを身に付けてきているから、そうとしか説明できないのだろう。だから、ジョンジョンの言っている事が環境も体形も違うあなたに100%当てはまるとは限らないし、大人になってから上達するためには多少頭を使って理論的にテクニックを捉える事も必要になってくる。それを充分に理解した上で、この法則のエッセンスを上手く取り入れることができれば、ジョンジョンの域には届かずともあなたのサーフィンを変えることができるかも知れない。

ただ、ジョンジョンであれ我々であれ、唯一すべてのサーファーに確実に当てはまる重要な要素がある。それは「とことんサーフィンを楽しめるかどうか」なのではないだろうか。

とことんサーフィンを楽しむジョンジョンのショートクリップ「ENJOY」はコチラ▶

Enjoy from John John Florence on Vimeo.


 

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2015年には3年の歳月を費やして製作されたジョンジョン主演のドキュメンタリーサーフムービー「View From A Blue Moon」も公開。全て4Kで撮影されたという迫力映像満載、オススメの1本だ。

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この記事を書いたライター

ario

オウエン・ライトの身長とロブ・マチャドの髪質を授かったが、残念なことにレギュラーフッター。三人の娘を育てながら、日々サーフライフバランスの実践を模索中。出没ポイントは千葉一宮。