『ジュニア・オープン選手権』に見た、日本のプラチナ・ジュニア、ボーイズ、キッズ・サーファーたち!
ライター: Tsuyoshi Nakajima
2015年6月19日(金)~6月21日(日)において、静岡県磐田市「豊浜海岸」にて日本サーフィン連盟(NSA)主催による 『ジュニア・オープン選手権』が開催された。日本サーフィン界のアマチュア最高峰の団体であるNSAとは、僕が日本リージョナルの「キャスター/コメンテーター/インタビュアー」などを努める「世界プロサーフィン連盟World Surf League(WSL)」や、日本国内のプロ・ツアー「日本プロサーフィン連盟(JPSA)」など、プロの「アスリート・サーファー」として成長するための「登竜門」となる組織だ。また、日本サーフィン界の底辺を支えるNSAは、ビギナー・サーファーがステップアップするための場や、これからサーフィンを始めたいと思う一般層のための分かりやすい窓口の場にもなっており、子ども~大人までサーフィンを「スポーツ」として楽しむ基本を分かりやすく提供する役割も担っている組織だ。
NSAが主催大会する2015シーズンのアマチュア・ツアーのビッグ・イベントは4つあり、『ジュニア・オープン選手権』はツアー2戦目にクレジットされる国内ビッグ・イベントの1つだ。3ディビジョン(クラス)に分けられるイベントは、「キッズ(12歳以下)」、「ボーイズ(13歳~15歳以下)」、「ジュニア(16歳~18歳以下)」に分けられ、各ディビジョンの規定に満たしているNSA会員であれば、プロ・ツアーとして確約するサーファーの参加も認められているため、国内の「プロ・アマ・ツアー」としては最大のイベントである。
今回は、その国内プロ・アマ・ツアーの「イベント・アナウンサー」としての要請を受け、長く続くコーストラインによって多数のバンクが魅力の「豊浜海岸」において、日本の未未来ある「プラチナ・サーファー」たちの素晴しいスキルを目の当たりにしてきた。
小学生以下の年齢で構成される(早生まれでは中学生1年生もエントリー可)「キッズ・ディビジョン」では、大勢の保護者や親族などがビーチにラインナップし、まるで「海の運動会」とも言えるほほえましい光景が見られた。その一方で、2世サーファー(親がサーファー)の選手も数多く参加し、アスリート・サーファーさながらの素晴しいコンペティション・ヒートも数多く見られた。
これからの成長が本当に楽しみなヒートが数多く見られたプラチナ・キッズたち。そんな元気いっぱいのキッズたちの中で、千葉西の「松原渚生(マツバラショウ)」と、地元である豊浜ローカル・キッズの「森大斗(モリヒロト)」の2名は、Round 1からすべてトップ通過でFinalまで登ってきた。ともにレフト・ハンダーである松原と森。松原は柔らかいスタイリッシュなフォームで勝ち上がり、森は低い姿勢からバネを効かせた素晴しいバックハンド・スナップを武器に勝ち上がってきた。Finalの主導権を握ったのは森で、ヒート開始早々に彼の持ち味を生かしたバックハンド・アタックでアベレージをスコアしてリード。波数の少ないトリッキーなコンディションに各選手は苦戦し、森が序盤からリードしたままヒート残り5分となった。ライト・ブレイクがメインだったスプリットAポイントにおいて、波数の少ないゲーム展開に焦った森は、左側のレフトに手を出し始めるが、フェイスが立ち上がらずにスコアが伸びない。そして、終盤までライト側のラインナップで待っていた松原が、ようやく入ったセットをキャッチ。松原は、素晴しいフローあるシャープなバックハンド・リエントリーを連打し、土壇場でついに逆転。最後まで辛抱強くライトの波に的を絞った松原が、嬉しいキッズ・ディビジョンの全国優勝に輝いた。
キッズ優勝「松原渚生」
中学生の年齢で構成される(早生まれは高校一年生もエントリー可)「ボーイズ・ディビジョン」では、すでにWSLやJPSAのプロ・トライアルにも参戦する素晴しいスキルをもったサーファーたちが集った。Semi-finalsでは、Round 1から際だったパフォーマンスを魅せていた湘南西の「鈴木仁(スズキジン)」と、関西を代表する西3兄弟の三男「西優司(ニシユウジ)」が、波数の少ないヒートに焦ってスキルを出し切れずに敗退。
ボーイズFinalは、湘南茅ヶ崎のトップ・ボーイズ「森友二(モリユウジ)」、WSLジャパン・ツアーでも活躍著しく、先日に四国で開催されたWSL×JPSAのCoサンクション・イベント「Billabong Pro Shikoku」において、見事にマネーラウンドへと勝ち上がって国内プロ・ツアーの公認資格を得た湘南藤沢の「都築百々斗(ツヅキモモト)」、切れのあるターンが魅力の宮城仙台の「太田拓杜(オオタタクト)」、パワーとスピードを兼ね備えた徳島の「上山・キアヌ・クリス」という顔ぶれが揃った。Semi-finalsまで、素晴しい気迫溢れる勢いを魅せていた森だったが、Finalではそれまでの森らしい気迫が見られず4位で終わった。その一方で、Finalをリードしたのは都築だったが、太田と上山の猛チャージを受けて3位に降格。しかし、ヒート終了間際のセットをつかんだ都築は、持ち前のパワフルかつドライビーなバックハンド・アタックを連打してエクセレントに近いスコアを記録し、見事に逆転で日本のボーイズ・チャンピオンに輝いた。都築の素晴しいところは、どんな状況におかれても常に100%アウトの攻める姿勢だ。彼のサーフィンを見ていると、僕のサーフィンライフや私生活においても学ぶものが大きい。これから世界で活躍する姿が本当に楽しみなプラチナ・ボーイズだ。
ボーイズ優勝「都築百斗」
高校生の年齢で構成される(早生まれは19歳の年までエントリー可)「ジュニア・ディビジョン」は、国内だけでなく海外のWSL QSツアーにも参戦する素晴しい日本のジュニア・サーファーたちがFinalに顔を揃えた。Semi-finalsでは、湘南西のトップ・ジェネレーションである「村上連(ムラカミレン)」や、手足の長さを生かした素晴しいラインとエア・マニューバーを魅せる浜松の「三浦凉(ミウラリョウ)」が敗退。
ジュニアFinalは、関西を代表する西兄弟の次男である「西慶二郞(ニシケイジロウ)」、先日のWSL×JPSAのCoサンクション・イベントにおいて、見事にマネーラウンドに進出して国内プロ・ツアーの資格を獲得した大阪の「黒川楓海都(クロカワカイト)」、宮崎の「田中大貴(タナカダイキ)」、パワフルなレール・トゥ・レールが魅力ある茨城の「澤村康生(サワムラコウセイ)」となった。田中と澤村は、終始スコアリング・ウェーブを探せずに苦戦し、Finalは西と黒川の一騎打ちとなった。黒川は、ノン・パワーなフラット・セクションにおいても、常にレールを入れる素晴しいパワフルなコンビネーション・ターンを披露し、ヒート終盤にかけて西を逆転してリード。しかし、ヒート開始早々にセットへのバックハンド・アタックを連打してエクセレントスコアを記録した西は、ヒート終了間際にもスタイル溢れる素晴しいバックハンドのブレンド・マニューバーを魅せて再逆転。日本のジュニア・チャンピオンの王座を獲得した。
ジュニア優勝「西慶二郞」
未来ある日本アマチュア最高峰の次なるイベントは、2015年8月25日(火)~8月30日(日)の開催期間において、千葉県いすみ市「太東海岸~長生郡一宮町~釣ヶ崎海岸(志田ポイント)」にて開催される「全日本サーフィン選手権」となる。このイベントは、NSAの50周年事業記念としてJPSAイベントとタッグを組んで開催される史上初のビッグ・イベントとなる。
NSA』Event site:『第23回 ジュニア・オープン選手権 2015』
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この記事を書いたライター
Tsuyoshi Nakajima
「WSL(World Surf League) Japan Regional」ツアーにおいて、2015シーズンまでイベントの「アナウンサー/キャスター/インタビュアー/コメンテーター」などを担当。数々のワールド・アスリート・コンペティションを目の当たりにし、イベントサイトのインターネット・ライヴ中継を通してワールドツアー・アスリート・サーファーたちのヒート(試合)を解説。伊豆をホームに持つサーフィン歴は30年を超え、地元の海において「子どもたちのためのサーフィンレクリエーション」なども主催。
サーフィンのディープな本質や、ワールドツアー・イベントから国内のアマチュア・イベント、How Toなど、サーファーだけではなく、すべての方々にサーフィンを楽しんでいただけるようなニュースをお届けします。
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