パタゴニアサーフィンアンバサダー田中宗豊の半生「プロサーファーから無農薬農家に」

ライター: WAVAL

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田中宗豊

田中宗豊FPhoto @Pedro Gomes

農薬や除草剤は使わない「昔ながらの農業」

日本を代表するビッグウェーブサーファーでサーフボードビルダーで、ファーマーの顔も持つパタゴニア・サーフィンアンバサダー田中宗豊(たなか むねとよ)氏。大阪府阪南市出身 1974年生まれ。

14歳でサーフィンと出会いのめり込み、17歳でプロサーファーになると決め徳島県海陽町へ(当時は宍喰町)原付バイクで単身移住した。現在はクラシックサーフィンを追求しながら家族で無農薬農業を営み、その昔ながらの農法を自然体験プログラムを通じ広めている田中氏が「自然と共に暮らしてきた先人の知恵、文化、それらを未来の子供達に伝えたい」という想いの元、ショートフィルム『植える未来 Planting the Future』をパタゴニアからリリース。今回はプロサーファーから”昔ながらの農業”に拘る農家に転身し、パタゴニアアンバサダーになるまでの経緯や想いを語ってくれた。

田中宗豊氏の半生「ギリギリの所で助けてもらい、なんとか農業ができるように」


田中宗豊『植える未来 Planting the Future』パタゴニア上映会

サーフィンの本質である”楽しむ”ことをハワイで思い出した。好きな事だけをやろうと決めた。

田中宗豊

「当時はプロになる為のサーフィン漬けの毎日で、20歳でショートボードのプロ資格を獲得。競技中心の生活でしたが必死になりすぎて、サーフィンの本質である”楽しむ”ってことを忘れてしまったんです。空回って上手く行かなくなった。それで25歳くらいの時、20歳の頃から通っていたハワイに行きました。ハワイのサンセットポイントで、おじさん、女の子、子供達がやっている場所でサーフィンしたらとても楽しくて、これがサーフィンだ!と、気付かされたんです。」

「そして帰国して放浪の旅に出て沖縄に行き、 “なんくるないさ” 頑張ってたらなんとかなるよ、っていう教えに触れて、好きなことだけやろうと思ったんです。今までのコンペ活動を止め、クラシックポイントなど好きな場所で行う大会にしかでないと決めました。」

自分でなく海と向き合う事で結果、自分と向き合えるように。本当に乗りたい波が見えて来る。

「では何をするのか?ですが、やはりサーフィンが大好きなので、誰も乗れない程の小さな波と、誰にも乗れない程の大きな波にフォーカスしました。今までコンペに向けていた情熱をハワイに向けました。日本人とつるまず、ハワイアンの家に転がり込んで暮らし、海とピュアに向き合う事の大切さを学びました。今までは『良い写真や結果を残したい』という事にフォーカスしていましたが、自分が乗りたいと思う目の前の波に全力でフォーカスするようになりました。

「自分でなく、海と向き合う事で結果、自分と向き合えるようになりました。そうすると自分が本当に乗りたい波が見えてくるんです。その波に身を合わせて乗っていると、知らない間にフォトグラファーの方が写真を取ってくれていて、知らない間に雑誌に載るようになりました。当時アナログだったので数ヶ月後にアメリカの雑誌に載って、それを誰かから聞く。という不思議なことが起こり出したんです。」

サーフィン写真を残してスポンサー収入を得る生活から農業へ

「30歳の時に奥さんと徳島で出会い、家族を持って自分の為に楽しむ海から、家族との生活にフォーカスが変わりました。写真を残し露出されスポンサー収入で生活していた事に限界を感じ出し、ライフスタイルを考え出しました。そして2009年くらいに『農業だ』と、なんか知らないけど天から降ってきたんです。笑」

田中宗豊
Photo @Pedro Gomes

「直感で行くタイプなのですぐに『農業だ、山だ』と思って深堀りして行きました。そして2011年の東北大震災で、決定的になりました。震災の時はハワイにいて、山に強制避難となりました。帰国した時に父親に『これからは江戸時代のような暮らしをしたらいい』と言われ、それが心に刺さったんです。そして手のかかる100%オーガニックの方に暴走してしました。」笑

「しかし苦労して必死になってフォーカスしていると、誰かが手を差し伸べてくれるものですね。ギリギリのところで助けてもらって、なんとか無農薬農業ができるようになったんです。」

田中宗豊Photo @Pedro Gomes

アウトドアという新たなジャンルを加えて発信する事に決めた

「2013年、ボルコムパイププロの大会でサスティナブルプログラムをやっていて、そこで上映されて観たフィルムに『僕らはみんなファーマーで、いい波に乗り続けていくには健康的な暮らしが大切だ。』というメッセージ出てきて、かつて良い波に乗ることしか考えていなかった自分は心惹かれました。」

「主催側と連絡を取り、3年間ボルコムのサスティナブルプログラムの裏方で参加させてもらいハワイで学んた事を自分のフィールドである日本でやると決めました。2013年の頃は当時、日本人だとあまり乗っている人はいなかったマウイ ピアヒのビッグウェイブに乗り始めていた頃で、時期が重なりました。メディア露出とか関係ないスタイルでピアヒにチャージしていましたが、でもそういう時は誰かが撮ってくれているもの。サーフィンタブロイド雑誌『OFF SEASON(オフシーズン)』に載り、それが名刺代わりになってパタゴニアとの接点になりました。それからアウトドアという新たなジャンルを加えて発信する事に決めたんです。その後2017年からパタゴニアのアンバサダーに。」

「夢は、孫と一緒にサーフィンをしたい。ただそれだけ。」

「世代を超えても共通の趣味を、対等に語り合える仲って良いですよね。あと孫とサーフィンするってのは、自分で決めれる事じゃないですよね。なんかそんなのが好きなんです。」

田中宗豊『植える未来 Planting the Future』パタゴニア上映会


更に詳しくは、「海に恩返しをしたい。自然と共に暮らしてきた先人の知恵や文化を、未来の子供達に伝えたい。」という田中宗豊氏のメッセージが込められたパタゴニアフィルム『植える未来 Planting the Future』を是非ご覧下さい。

田中宗豊 HP:徳島県海陽町のルロクラシック



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