日本最大イベントWSL QS6,000『Ichinomiya Chiba Open』開幕
ライター: Tsuyoshi Nakajima
日本のサーフィン道場として有名な「志田下ポイント」、イベント初日は素晴らしい波と天候に恵まれた。WSL
日本最大のビッグイベントWSL QS 6,000『Ichinomiya Chiba Open』開幕
世界プロフェッショナル・アスリート・サーフィンの団体である「World Surf League(WSL)」。そのWSLが主催する世界最高峰のビッグ・イベントの1つQualifying Series(QS) 6,000『Ichinomiya Chiba Open』が、ついに日本の千葉県一の宮町「釣ヶ崎海岸(志田下ポイント)で開幕となった。
世界最高峰のサーフィン・アスリート組織「WSL」とは?
WSLが主催する世界ツアーは、「サムスン・ギャラクシー・チャンピオンシップ・ツアー(CT)」、「クオリファイン・シリーズ(QS)」、「ビッグ・ウェーブ・ツアー(BWT)」、「ジュニア・ツアー(JT)」、「ロングボート・ツアー(LT)」、「スペシャリティ・イベント(SE)」という6つのディビジョンに分けられている。その中において、母なる地球の大自然が作り出すさまざまな波の上で、美しさと力強さを描き、そしてサーカスのような空中遊泳までが同居し、観ているギャラリーを魅了するのが「ショート・ボード」ディビジョンだ。そして、「ショート・ボード」ディビジョンでは、そこからさらに「CT」と「QS」の2部リーグに分かれている。
「CT」とは、世界各国におけるトップ34名のエリート・アスリートしか参戦することができないメジャー・リーグ。「QS」とは、世界最高のサーフィン・メジャーリーグである「CT」へとクオリファイ(参戦)するためのマイナー・リーグだ。アスリート・サーファーならば、誰もが夢見るメジャー・リーグ「CT」の世界。「エリート(ドリーム)・ツアー」と呼ばれ、今シーズン11戦の中で世界チャンピオンを決定する「CT」へとフル参戦するのには、世界各国において今シーズン52戦ある「QS」イベントからワールド・ランキング・ポイントを稼ぎ、シーズン最終戦を終えた時点でトップ10に入っていることが条件となる。今シーズン1000人近くが登録する世界各国のWSLワールド・アスリートたちの強豪に加えて、誰よりも開催地の波を知り尽くす「ローカル・ワイルド・カード(特別枠)」などが強敵となって立ちはだかり、1年間世界中を旅しながらハイレベルのツアーを回る驚異的な忍耐・精神力も必要とされる。そんな中、世界トップ10名の狭き枠に入ることは、まさに究極のアスリート・サーファーと呼べるに相応しい。
世界最高峰の1つである権威の高い「WSL QS 6,000」イベントとは?
WSL「QS」イベントは、下から「QS 1,000」、「QS 1,500」、「QS 3,000」、「QS 6,000」、「QS 10,000」という5つのグレードに分けられており、各グレードによって獲得するポイントも大きく違ってくる。夢の「CT」へフル参戦するためには、より多くのポイントが必要となり、そのためにはよりハイ・グレードなイベントでのワールド・ランキング・ポイントが必要となる。そんな中、きょう5月23日(月曜日)~5月30日(月曜日)までの8日間という長いウェイティング・ピリオド(開催期間)において、我々の母国である日本の千葉県一の宮町で開幕を迎えたWSL QS 6,000『Ichinomiya Chiba Open』は、WSL「QS」世界ツアーの中で2番目に高いビッグ・イベントだ。
そして、このビッグ・イベントに出場して高いワールド・ランキング・ポイントを稼ぎたい世界各国のワールド・アスリート・サーファーたちが、日本の千葉県一の宮町に集結している。WSLの各イベントは、世界ランキングの順にエントリー・クレジットされる仕組みになっているため、ハイ・グレードなイベントになるほど下位ランキングのアスリートは出場することができなくなる。この『Ichinomiya Chiba Open』では、日本人アスリートを始めとする多くの下位ワールド・アスリート・サーファーたちがオルタネート(補欠待ち)となり、最終的にイベントから除外されることとなった。
日本人初の全米チャンピオンとなった「大原洋人」選手、この日の丸を母国で掲げてほしい。WSL/Kenneth Morris
WSLトップシードとしてイベントの「Round of 96(96名のアスリートで組まれる3回戦)」からクレジットされた日本人サーファーは、わずか4名である。昨シーズンWSL全米チャンピオンという快挙を成し遂げた「大原洋人」選手、昨シーズンのWSL世界ジュニア・ツアーから「安井拓海」選手、そして昨シーズンのWSLジャパン・ジュニア・チャンピオンであり、この志田下ポイントから世界に飛び出している「稲葉玲王」選手、さらには稲葉選手と同じく志田下をホームに持ち、偉大なるハワイの世界チャンピオンである故・「アンディ・アイアンズ」との歴史的なバトルを演じた千葉県一の宮町のスター「田中英義」選手。
きょう5月23日(月曜日)、日本の千葉県一の宮町「釣ヶ先海岸(志田下ポイント)においてついに幕を開けたWSL QS 6,000『Ichinomiya Chiba Open』。イベント初日は、Round 1(1回戦)~Round 2(2回戦)のHeat 12までを終えた。世界各国の強豪を相手に、WSLインターナショナル・トップシード・アスリートが待ち構えるRound 3(3回戦)へと勝ち上がった日本人アスリートは、「林健太」と、ハワイ国籍の日本人ワールド・アスリート「喜納海人」の2名だった。Round 2 Heat 11、これまで日本人として国内外の数々のイベントにおいて日本サーフィン界の歴史を塗り替え、日本人サーファーが世界に通用することを証明してきた「大野修聖」は、ヒート終了間際に素晴らしいカーヴィングの連打をコンビネーションさせたものの、最後のフィニッシュ・ターンを決めることができずに惜しくも僅差で敗退となった。
5月24日(火曜日)にイベント2日目がキックオフとなれば、オープニング・ゲームとなるRound 2 Heat 13に昨シーズンのWSLジャパン・リージョナル・チャンピオン「大橋海人」選手と、ISA世界ジュニア選手権において日の丸を表彰台に掲げた「仲村拓久未」選手が登場し、Heat 14には今シーズン権威の高い「WSL全豪オープン」9位入賞の快挙を魅せた「村上瞬」選手と、世界に認められる日本人パイプライナー「脇田貴之」選手のDNAを受け継ぎ、ジャパン・トライアルから勝ち上がってきた日本のヤングガン・アスリート「脇田泰地」選手が登場し、Heat 18にはWSL全米ジュニア・ディビジョン3位の快挙を成し遂げ、日本人アスリートとして大原選手に次ぐWSL世界ランキング上位である「新井洋人」選手、続くHeat 19には昨シーズンのWSL QS 1,000「Billabong Pro Shikoku」のチャンピオン「辻裕次郎」選手、そしてHeat 21には「加藤嵐」選手、Heat 23にはWSLワールド・ジュニアの日本代表として経験豊富な「渡辺寛」選手が登場し、世界各国の強豪たちとのマッチアップを迎える。
このような権威の高い世界ツアーの1戦が日本で開催されるということは、母国で大きなポイントを稼げる日本人アスリート・サーファーだけでなく、「2020東京オリンピック」競技に内定されて追い風を受ける日本サーフィン界発展に向けて、さらなる大きな追い風となることは必至だ。
日本において、これほどのワールド・ベスト・アスリート・サーファーたちが一堂に集まるイベントは数年ぶりのことだ。イベント会場である千葉県の一の宮町「釣ヶ崎(志田下ポイント)」からは、リアルタイムでライブ映像・スコア・写真・ニュースなどが配信されるが、是非とも時間を作って現地に足を運び、世界で戦うワールド・サーファーたちの演技とオーラを感じでいただきたい。そして、世界の強豪たちを相手に戦う日本のサムライ・アスリートたちを応援しよう!
Go Japan!
※WSL QS 6,000『Ichinomiya Chiba Open』ライブ・イベント・サイト:
http://www.worldsurfleague.com/events
日本語ライブ中継はこちら:
http://www.worldsurfleague.jp/2016/icopen
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この記事を書いたライター
Tsuyoshi Nakajima
「WSL(World Surf League) Japan Regional」ツアーにおいて、2015シーズンまでイベントの「アナウンサー/キャスター/インタビュアー/コメンテーター」などを担当。数々のワールド・アスリート・コンペティションを目の当たりにし、イベントサイトのインターネット・ライヴ中継を通してワールドツアー・アスリート・サーファーたちのヒート(試合)を解説。伊豆をホームに持つサーフィン歴は30年を超え、地元の海において「子どもたちのためのサーフィンレクリエーション」なども主催。
サーフィンのディープな本質や、ワールドツアー・イベントから国内のアマチュア・イベント、How Toなど、サーファーだけではなく、すべての方々にサーフィンを楽しんでいただけるようなニュースをお届けします。
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