【史上初】ハワイ・ピアヒ開催のビッグ・ウェーブ・イベント!
ライター: Tsuyoshi Nakajima
優勝の「ビリー・ケンパー(ハワイ)」- WSL/Kelly Cestari
優勝を決めたFinalでのビッグバレル「ビリー・ケンパー(ハワイ)」- WSL/Kelly Cestari
史上初のハワイ・ピアヒ(ジョーズ)で開催されたビッグ・ウェーブ・イベントは、巨大なバレルをメイクした「ビリー・ケンパー」が優勝!
・【史上初】ハワイ・ピアヒ(ジョーズ)開催のビッグ・ウェーブ・イベント
ショート・ボードのMen’s世界チャンピオンに君臨する「ケリー・スレーター(アメリカ合衆国)」、「ミック・ファニング(オーストラリア)」、「ガブリエル・メディーナ(ブラジル)」。そして、ロングボードのMen’s世界チャンピオンである「タイラー・ジャンセン(アメリカ合衆国)」、「ピッコロ・クレメンテ(ペルー)」。世界最高峰のサーフィン・アスリートたちが所属する「WSL(World Surf League)」のワールド・ツアーである「CT(Championship Tour)」、「QS(Qualifying Series)」、「LT(Longboad Tour)」などの他に、もうひとつの最高権威であるワールド・ツアーが「BWT(Big Wave Tour)」だ。この「BWT」は、世界の北半球と南半球に存在する壮大なビッグ・ウェーブ・スポットにおいて、巨大なスウェルが到達するベスト・デーの1日だけで開催されるイベントであり、全7戦のイベントによってシーズンの世界チャンピオンを決定する。
しかし、北半球と南半球に存在するスケールの大きな壮大なチャンネル(波がブレイクする地形)を形成し、年に数回あるかないかという巨大なスウェルにだけに反応して真の姿を現すビッグ・ウェーブ・スポットだけに、わずか1日だけに絞って開催される1イベントの「ウェイティング・ピリオド(開催期間)」は、実に4ヶ月間にも及ぶ。それでも、そのシーズンに開催されずにキャンセルされるイベントも少なくない。
そして、これまでの「BWT」においても、史上初のイベント会場として11月15日(日曜日)からウェイティング・ピリオドに入っていたハワイ・オアフ島の世界的有名なビッグ・ウェーブ・スポット「ピアヒ(ジョーズ)」において、ついに史上初となるWSL BWT『ピアヒ・チャレンジ』が開催された。
史上初の開催を迎えた『ピアヒ・チャレンジ』は、数日前から40~60ftフェイスという想像も付かないような巨大なスウェルが到達することが予想され、それは必ずや「歴史的なイベントになるだろう」ということが約束され、地元ハワイと世界のサーフィン界では大きな話題となっていた。そして、現地時間2015年12月6日(日曜日)の夜明けを迎えたとき、その約束は確信へと変わったのだ。
・【40~60ftフェイス】初のパドルインイベント
「ピアヒ(ジョーズ)」は、「トーイン(ジェットスキーによるアシスト)」・ライド・スポットとして世界的に有名だが、「パドルイン(自力のパドルだけで波に乗る)」でのイベントはいまだかつて開催されていなかった。今回、オアフ島のピアヒに姿を現した40~60ftフェイスという巨大なモンスター・ウェーブは、まさにパドルインでの限界を超えるような凄まじい破壊的なコンディションだった。
・【WT(Big Wave Tour)】ルール概要
「BWT」における「ヒート・フォーマット(ヒートの組み合わせ)」は、「1 Heat 6 Surfers(1ヒートに6名のサーファーがクレジットされて争う)で、「Round 1」、「Semi-finals」、「Final」のラウンドにおいて勝者と順位を決定する。そして、「Round 1」では「1st to 3rd place progressing to Semi Finals (1~3位までのサーファーが準決勝へと進出する)」、「Semi-finals」では「1st to 3rd place progressing to Semi Finals (1~3位までのサーファーが決勝へと進出する)」となり、各順位によって獲得する「WSL BWTポイント」と賞金は異なる。
また、「BWT」による「ジャッジ・クライテリア(ライディングに対する審査基準)」は、「0~10.0(満点)」までの中において、「0~1.9=Poor」、「2.0~3.9=Fair」、「4.0~5.9=Average」、「6.0~7.9=Good」、「8.0~10.0=Excellent」となり、各サーファーは「1 heat 2 best waves(1ヒート中に2本の合計ライディング)」の中で、「Best score is doubled and added to(2本のベストスコアのうち最高のスコアが倍得点)に計算した合計スコアによって、各ラウンドの順位を決定する。
・巨大なバレルをメイクした「ビリー・ケンパー」が優勝!
イベントのオープニング・ゲームとなったRound 1 Heat 1では、ハワイの「デイヴ・ワッセル(ハワイ)」と、ブラジルの「カルロス・ブールレ(ブラジル)」が、壮絶なワイプアウトを強いられてアウト~インサイドまで押し流され、元「BWT」チャンピオンである「グレッグ・ロング(アメリカ)」と、ローカル・レジェンドの「ショーン・ウォルシュ(ハワイ)」は、信じられないようなフリーフォール・ドロップをメイクした後、凄まじい強烈なヘビー・バレルの中に自ら飲み込まれて消えていった。
無事に生還したロングは、後のヒート・ウィナーズ・インタビュー(勝利者インタビュー)において、「あの波(バレル)をメイクすることはできませんでしたが、わたしの人生の中で最高の波の1つでした。あのようなバレルをキャッチすることを、いつも夢に描いています。」と語っている。
そして、マウイ島のローカルである「ビリー・ケンパー(ハワイ)」は、ホーム・タウン(地元)に集まった群衆の前と、全世界から注目を集めたインターネットのライヴ中継の前において、「Round 1」、「Semi-finals」、「Final」の3つのヒートで素晴しいハイスコアをメイク。Finalでは、完璧なタイミングによって凄まじい巨大バレルをメイクすると、2015-2016 WSL BWT『Pe’ahi Challenge』のチャンピオンとなった。
歴史的なビッグ・ウェーブ・チャンピオンとなったケンパーは、「本当に夢が叶いました……。我々は、ホームでビッグ・ウェーブでのパドル・イベントを開催できるようにと、何年もずっと議論してきました。ピアヒ(ジョーズ)をパドルで制することは、わたしにとって長い間の夢でした。そして、きょうの勝利を兄弟に捧げたい。わたしの大好きなサーファーと、親友たちと一緒にラインナップを分かち合えて、本当に言葉にならないほど最高に嬉しいです!」と語っている。
ケンパーは、きょうの記念すべき大きな勝利によって「WSL BWT Ranking」15,625 ptを獲得し、現在の「2015-2016 WSL BWT」カレント・リーダー(1位)に躍り出た。
次のコール(開催)を待つ「2015-2016 WSL BWT」イベントは、アメリカ合衆国のオレゴン州リンカーン・シティに存在するビッグ・ウェーブ・スポット「ネルスコット・リーフ」での『Oregon Challenge』となる。
サーフィンの発祥は、紀元前400年にポリネシアの人々が板のような物で始めたのが原点と言い伝えられているが、まさにサーフィンの原点のような思いを感じさせる壮大な「WSL BWT」。次のオレゴンでのビッグ・ウェーブ・チャレンジの勝者は? そして、今シーズンのビッグ・ウェーブ・ツアーの世界タイトルは誰が獲得するのか? 今から興奮して待ち遠しい!
【ファイナル】優勝を決めたビリー・ケンパーの8.0ポイントライディング映像▶
準優勝の「アルビー・レイヤー(ハワイ)」- WSL/Kirstin Scholtz
3位の「グレッグ・ロング(アメリカ合衆国)」- WSL/Kirstin Scholtz
※2015-2016 WSL BWT『Pe’ahi Challenge』Final Results(決勝における最終結果):
1st:「ビリー・ケンパー(ハワイ)」
2nd:「アルビー・レイヤー(ハワイ)」
3rd:「グレッグ・ロング(アメリカ合衆国)」
4th:「イアン・ウォルシュ(ハワイ)」
5th:「ガブリエル・ヴィラーラン(ペルー)」
6th:「シェーン・ドリアン(ハワイ)」
※2015-2016 WSL BWT『Pe’ahi Challenge』イベントサイト:
http://www.worldsurfleague.com/events/2015/mbwt/1339/peahi-challenge
※WSL Internationalサイト:http://www.worldsurfleague.com/
※WSL Japan Regionalサイト:http://www.wsljapantour.com/
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この記事を書いたライター
Tsuyoshi Nakajima
「WSL(World Surf League) Japan Regional」ツアーにおいて、2015シーズンまでイベントの「アナウンサー/キャスター/インタビュアー/コメンテーター」などを担当。数々のワールド・アスリート・コンペティションを目の当たりにし、イベントサイトのインターネット・ライヴ中継を通してワールドツアー・アスリート・サーファーたちのヒート(試合)を解説。伊豆をホームに持つサーフィン歴は30年を超え、地元の海において「子どもたちのためのサーフィンレクリエーション」なども主催。
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