ニュージーランド南島 最南端エリアのサーフカルチャー。サーフタウンRivertonで出会ったシェイパーWayne

ライター: megumi

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colacbay

ニュージーランド南島 最南端の街に移住しヨガ講師として活動中のメグです。南極に近いサーファーズタウンRivertonで出会ったシェイパーに聞いた今と昔のサーフカルチャー。彼にとってのサーフィンとは。

NZ南島 最南端エリアのサーフタウン”Riverton”

リバートン:別名 アパリマ/Aparima/ニュージーランドのほぼ最南端に位置する小さなサーファーズタウン

南極に近いので水温は年間を通して冷たいが水の透明度はかなり高く、年間を通して波がある。また、絶滅危惧種にも指定されているHector’s dolphinが暮らす場所に位置するため、かなりの確率で彼らとサーフィンを楽しめる。とても好奇心旺盛なのでいつも音や泡を作ると真横まで来て、同じ波をシェアすることが出来る。まるでヘブンのようなサーフシーンが日常。

hectors dolphins
Hector’s dolphins, Cloudy Bay, 2012. Photo by Anjanette Baker

Wayne of the hill

wayne of the hill

クルクルっと捻り上がった口髭と優しい笑顔でインタビューに答えてくれたWayne。サーフボードシェイパーであり、アーティストとして活動する彼は通称「Wayne of the hill」として知られている。(以下:W)

Wのアート作品は街中の至る所で見ることが出来る。海岸線沿いを一望できるビューポイントにあるウッドデッキやカフェに飾られているアートの数々。Wとの出会いは、いつも通り過ぎていたRivertonにあるサーフショップに立ち寄った日の事。そこに飾られていた美しいシェイプとデザインのサーフボード。次に寄ったカフェに飾ってあったWのボードはかなりの存在感を放っていた。

すぐに連絡先を聞きWの自宅兼、工房にお邪魔することに。彼の工房を見た時「Wooooow」この一言しか出てこなかった。Air BnBで宿泊場所としても提供している彼の家の前にはかなりの存在感を放つ、逆さまになったボートが小さな家の上に乗っている。地面から生えたマネキンの足にはフィン。遠くからでも見えるものすごい数のサーフボードと巨大な木製キリンのオブジェクト。家の外にある屋根から室内の天井という全てのスペースがサーフボードで埋め尽くされていた。まるでサーフボードの博物館にでも来たかのように年季の入った珍しいシェイプのものから木製のロングボードまで。私の頭から溢れ出していた質問を彼に投げかけてみた。

以下インタビュー会話で私はM、WayneはWと表記しています。

riverton

Rivertonのサーフカルチャー

M:この地はサーファータウンだけど昔からそうだったの?

W:昔は特に昔は知られていないサーフポイントだったからサーファーも少なかった。60〜70年代はほんの数人だけで、いつも同じサーファーが海にいたくらい。夏でも5人程度でその当時は混んでるなと思った、冬は1人だけとか。80〜90年代は少し増えて、2000年からは増えていく一方だったね。今となっては通る車一台一台、サーフボードを積んでいる。みんなサーフィンを求めてこの場所に来るようになったよ。

「落ち着く」「60年代に戻ったみたい」

M:昔とはガラッと変わって今は沢山のサーファーが各地から訪れるRivertonだけど、海の中でもみんなフレンドリーで波の取り合いも無ければローカルが威張ってる感も全く感じないから、皆んなのお気に入りの場所になってるのかな。

W:何がサーファー達を引き止めてるかというと、皆んな口を揃えて言うのが「落ち着く」「60年代に戻ったみたい」。街は少しづつ発展はしてるけど他の場所に比べたら全然だし、それが良いんだと思う。ただリラックスして波をシェアするんだ。

M:うん、分かる気がする。誰もアグレッシブじゃないし、笑顔だよね。でも、この前のイースターの週末はピークに80人くらい居たよ。普段は多くても10人くらいで、ここら辺では見た事ない数のサーファーだったから海に入るの躊躇しちゃった。笑

wayne of the hill

シェイパーになったきっかけ

M:ところで何でシェイパーになろうと思ったの?

W:いつも姉の友達のサーフボードを借りてサーフィンをしていて、20歳の頃にその友達の1人がサーフボードを作ってるのを知ってね。50〜60年代は初代のサーファー達がボードをメイン道路で削ってたんだ。また新しい家(現在の工房)に引っ越した時に向かいの住人が木製のボードを作ってて、そのボードを持って家の前のビーチでサーフィンをしていたのを見て、カッコいいなっと思ってた。

そして次の世代がグラスファイバーを使ったボードを作り出して、それを機に自分でボードを作り出したんだ。今となっては40年も経ったけど、今もまだボードを作ってるよ。ただ、最近は修理の作業が昔に比べてかなり増えたかな。今は色んなタイプのマシンシェイプのボードを手頃に買える時代になったね。特に大手のボード工場はその板が何年保とうが関係くて、真っ二つになったらゴミ箱入りだよ。そしてお金が回っていく。修理すればもう5年は使えるのにね。少し悲しいね。

自然環境に配慮した自然素材を使ったサーフボード

M:そうだね、私も工場生産が増えている中でサーフカルチャーが与える自然への影響が気になってて。Wが進めてるプロジェクトボードについて少し詳しく教えてくれる?

W:マイクロファーバーをリサイクルプラスチックに置き換えたり、フラックスっていうニュージーランド固有の植物の葉から繊維を用いた生地を代わりに使ってるよ。この場所が好きだから、この場所のことを考えてこのプロジェクトを進めているよ。

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▲実際に私がオーダーしたボード

M:どうやって植物の繊維をマイクロファイバーの代わりにするの?

W:生地を入手する方法を見つけたんだ。ファイバーをとってその生地でボードを作ってみたら、凄く綺麗で頑丈で。しかもナチュラル素材やリサイクル素材で作るのは、作る側の気持ち的にも良いよね。

M:最高だね。パウア貝で作られたフィンも見たけど、凄く綺麗。

W:フラックスとパウアはニュージーランドを象徴するものだから、オリジナルで良いよね。

paua fin

彼にとってのサーフィンとは

W:数年前までは今みたいにサーファーは居なかったから少し環境も雰囲気も変わった感じはするけど、他のどの場所とも比べられないかな。サーフィンをしていると、ただ自由で愛を感じる。海の中では競うことも無ければ誰もアグレッシブじゃない。誰が一番のサーファーか知ってる?一番大きな笑顔を持つ人がベストサーファーだと思う。パーティーウェーブも好きだね、他のサーファーを誘って一緒に波に乗って、後ろから押す!笑

M:はは!海で見かけたらWからは離れておくね!笑

W:冗談、一緒に乗ろう!他の日に友達とパドルしてたら数匹のイルカがいて2人で子供のようにはしゃいだよ。それが自分たちが本来ある姿だと思うね。

サーフィンを始める人にアドバイス

M:何か新しくサーフィンを始める人にアドバイスはある?

・自分に合うボードを見つける
・ルールは海の中で学ぶ
・サーフボードは人を傷付ける事の出来る物だということを知る

その他にも沢山学ぶことはあるけど、それを分かってきたら、サーフィンは世界で一番最高だってことが分かるよ。もし陸で悩みや問題があれば、海に飛び込む。ボードに座って揺られているうちに答えが見つかるから。そしてまた陸に戻る。その時は少し何か違って見えるはず。海は癒し、母なる自然と繋がれる場所。

まだまだ尽きないWayneとの会話は面白くも、彼のサーフィンと自然・この場所に対する熱い気持ちと沢山の愛が伝わってくる良い時間でした。あまり知られていない沢山のサーフスポットがあるニュージーランド最南端エリアのサーフカルチャー。
小さなサーフタウンで出会った、彼らの地と自然と波を愛するシェイパーの物語でした。



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この記事を書いたライター

megumi

自然と海をこよなく愛し、yoga講師としてニュージーランド最南端の街に移住。サーフィンとヨガ、どこか似ている感覚の両視点から感じたことを発信していきます。
・Instagram→@aug.meg