サーフ&アウトドアブランド『パタゴニア』のマネジメント手法

ライター: masaaki

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パタゴニアの歴史と経営哲学を記した『社員をサーフィンに行かせよう―パタゴニア創業者の経営論』は、独創的なビジネスモデルとしてマーケティング業界で注目を浴びました。2017年には、10年の事業推移や資料を追加した新版が発刊され、ケーススタディーとして認知されてきた経営論を解説します。

『社員をサーフィンに行かせよう』の真意とは

パタゴニアの社員は、サーフィンだけに関わらず、登山、釣り、自転車、ランニングなど、どんなスポーツでも好きな時に行ける環境を作っているといいます。

“私たちの会社では、本当に社員はいつでもサーフィンに行っていいのだ。もちろん、勤務時間中でもだ。平日の午前十一時だろうが、午後二時だろうがかまわない。いい波が来ているのに、サーフィンに出かけないほうがおかしい。”(引用『社員をサーフィンに行かせよう―パタゴニア創業者の経営論』)

この精神の背景には、「ジョブシェアリング」と「フレックスタイム」という社内のマネジメント制度があります。日本でもフレックスタイム制テレワーク制度などが取り沙汰されてきていますが、その先駆け的な存在がパタゴニアの勤務制度と人事マネジメントと言えます。

社員が自分で仕事のスケジュールを管理して、チームで分担することで責任感と協調性が生まれ、指示待ちではない自らの意思で行動することにより判断力が養われることを狙いとしたリーダーシップマネジメントのモデルケースとも言えます。

サーファー
出典 パタゴニア

また、パタゴニアはプロサーファープロボーダーなどのトップアスリートを多く雇い入れています。アウトドアブランドとして開発、販売するうえで、トップアスリートの経験と知識を取り入れることは重要であり、ブランド力になります。

プロアスリートが競技に集中できる環境づくりとしても『社員をサーフィンに行かせよう』のマネジメント精神が一役買っているのではないかと思われます。

「Don’t Buy This Jacket(このジャケットを買わないで)」

新聞広告
出典 パタゴニア

「Don’t Buy This Jacket(このジャケットを買わないで)」は、2011年11月のブラックフライデーにニューヨーク・タイムス紙に掲載された、パタゴニアの経営哲学を表す新聞広告のキャチコピーです。

この日は、どこの小売店も販売を促すCMに躍起になる時、「本当に必要なのか考えてから」と、消費を抑えることを促す広告を掲載したのです。ジャケット1枚作るのにかかるエネルギーは、それだけ環境破壊を導くことを説き、大量生産、大量消費する資本主義ビジネスからの脱却を提唱しました。

パタゴニアのビジネス理論は、地球を守るために存在し、企業は地球の資源に対して責任があるとしています。株主や顧客、社員でもなく、地球環境を守ることをビジネスの最優先とする姿勢は、時に賛否両論を巻き起こしてきました。

パタゴニア創業者のイヴォン シュイナードは、山登りで使うクライミングギアが、岩肌を傷つけ自然を破壊していると憂いていました。そこで使い捨てのクライミングギアをやめ、繰り返し使えるクライミングギアを自ら製作し、世界中のクライマーに販売します。

この精神がパタゴニアの品質管理の根底にあり、商品は如何に長持ちさせるか、環境を壊さないかをテーマにしています。

ブームやトレンドなどという言葉で消費を促し、買い替えで利益を伸ばす企業が多い中、手入れと修理によってモノを長持ちさせることが、製作時に消費されるエネルギーや二酸化炭素の排出を削減し、地球のために最善の方法だとする理念を持っています。

資本主義経済の弊害

地球温暖化による気候変動の抑制について、長年世界中で話し合われてきましたが、自国の利益を追求する経済体制故に、なかなか打開策が講じられないのが現実です。生産と消費を拡大する経済成長と、地球環境の崩壊を免れるための資源抑制には、相反するものがあるということでしょう。

大量生産される商品は、それだけのエネルギーを消費し、大気中に炭素を拡散させます。流行に左右される商品は、いずれゴミとなって世界中にばらまかれていきます。近年、問題視されている海のゴミ問題にも通じる弊害だと思われます。

また、コスト削減のためにグローバルサプライチェーン化された流通システムは、途上国の労働問題を生み出し、格差社会の広がりに拍車をかけています。ファストファッションに代表される「より安く大量に作る」販売手法は、原材料の生産者や製作者の労働環境をも過酷にしているのです。

サーファーとしての出来る事

未来へ

パタゴニアは地球環境を守ることを目的に、さまざまな取り組みを行っています。2001年から、売上高の1%以上を環境保護団体に寄付する「1% For The Planet」(地球のための1%)という企業同盟を共同設立しました。現在では日本企業も含む世界中のパートナー企業は1,000社以上に及びます。また環境保護活動を行うグループに、助成金プログラムを用意して、草の根的小規模の環境保護プロジェクトを支援しています。 参考:パタゴニア環境及び社会的責任

私たちサーフィンを愛する人々は、海の自然環境に敏感になります。一人の力で出来ることは限られていますが、問題の認識と情報発信、ビーチクリーン活動をはじめとしたボランティア活動などは、意識を変えるだけで出来ることではないでしょうか。環境問題を考えた非買運動や購入先の選別などは、過激思想にもなりがちではありますので、必ずしもサーファー皆がすべきとは思いません。

しかし壊滅的な環境破壊が取り返しのつかないことになる前に、海の恵みを一番近いところで感じているサーファーができることは何なのか、考えてみるべきではないかと思います。

パタゴニアの経営理論は、一般的なビジネスの常識では測れないものがあります。そのため利益よりも自然環境、株主、顧客よりも地球環境と言い放つ経営ポリシーには賛否両論の意見があります。

しかしクライマーやサーファーが、自らが愛する山や海、自然を守るために始めたビジネスが、世界的に賛同を得て拡大していることも事実です。

パタゴニアのマネジメント理論から、これからの働き方や環境問題への取り組みをケーススタディーとして読み取ることは、今の時代には必要ではないかと思います。


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この記事を書いたライター

masaaki

masaaki

サーフィンの魅力にとりつかれ海の目の前に移住し、スローライフな日々を過ごしています。海辺での生活の楽しさや、初心者にもわかりやすくサーフィンの魅力を伝えます。