プロサーファー『堀越力』が教えるサーフィンの試合の見所
ライター: T.kazu
・サーフィンの試合のルール、見所、勝つ為に、目標—–
WCT・WQS・JPSA(日本プロサーフィン連盟)….2017年もサーフィンの試合が続々と開幕。近年、サーフィンの試合はTVやSNSなどでライブ中継も始まり、気軽に観戦できる環境になってきています。しかし「サーフィンの試合のルールや見所がわからない」という人もいらっしゃるかと思います。
そこで今回はISA WORLD SURFING GAMESの日本代表、東京オリンピック サーフィンの強化指定選手であり、SUP(サップ)日本代表選手にも選出された経歴を持つ堀越力(ほりこし りき)プロにサーフィンの試合のルール、見所、勝つ為に、目標についてインタビューしました。こういった試合の見所を抑えサーフィン観戦を楽しみながら選手を応援しましょう!
Who’s堀越力PRO
東京オリンピック サーフィンの強化指定選手で、SUP日本代表でもある堀越力選手。まずは堀越力proのライディングをご覧下さい。
サーフィンの試合の主なルール
堀越力PROへのインタビューの前に、サーフィンの試合の主なルールについてご説明します。
【ヒート時間と人数】
ヒート(試合)時間は20~30分、1ヒート2~4人で演技の得点をトーナメント方式で競い合う。試合によってはワンオンワン(1対1)を取り入れることもある。
【ベスト2ウェーブ制】
ヒート時間内に乗った波に対し、最も得点の高い2本の合計が個人の得点となる。1本のライディングに対して10点満点なので、満点は20点。1本のライディンで6.0~7.9をグッドスコア、8.0~10.0をエクセレントスコアと呼び、2本合計で16.00以上を出すと高得点である。
試合の見所
それでは、堀越力proの目線からみた試合の見所について伺っていきます。
T:高橋(筆者) / H:堀越力pro
1.自然相手のスポーツ—
Rider:堀越力 Photo by shonanboy
T:サーフィンの試合での一番の見所を絞るとしたらどこですか?
H: サーフィンは自然相手のスポーツなので、試合の最後まで何があるかわかりません。例えば、波の急な変化(サイズやセット間隔、波のピークの変化etc)。私自身、試合を優位に進めていたけど、残り3秒のところで相手が良い演技をして逆転され負けた経験があります。サーフィンの試合は、最後のフォーンが鳴るまで勝敗はわかりません。
2.出場選手のホームブレイクorそれに似た波—
H:トロイ、厚い、速い、ビーチブレーク、ポイントブレイク…大会の会場によって波の質やクセは違います。会場が選手のホームブレイクに似ている、もしくは地元の選手は期待大です。地元の場合、会場に駆け付けた仲間からの声援も多く、それは選手にとって心強いですね。海外の大会はビーチに多くの観客がいるので、演技をしていて楽しくなります。
T: サーフィンは演技を得点で競うということですが、体操競技やフィギュアスケートのように試合前に演技構成を決めていますか?
H:大まかに考えていますがサーフィンは自然相手のスポーツなので急な変化があり、構成通りに演技することは難しい。ですので、自然への対応力が大切だと思います。
T::自然への対応力を強化するためにしていることは?
H:普段良い波だけではなく、波が良くない強いオンショアコンデイション(岸から海側に向かって吹く風で、波が荒れている状態)や強いオフショアコンディション(海から岸側に吹く風で、波が割れにくいためテイクオフが難しい)、小波など様々な波で練習するようにしています。試合会場の波に似ているポイントでサーフィンすることもあります。
3.波の取り方・ポジショニング—
Rider:堀越力 Photo by jacob wooden
H:選手がどこから波に乗るのか、その波をどう使うかを是非、観て下さい。良い波を掴むためのポジション争いも見所です。
T:波が割れる箇所はいくつかあると思いますが、ポジションはどのように決めているんですか?
H:試合前の2日前以上に現地でサーフィンをしたり、セット間隔や波の割れ方を陸から観察して、ポジションを決めるよう心掛けています。
T:波待ちをしている時は何を考えているんですか?
H:私は「勝つ!」という気持ちが強くなると演技や気持ちが硬くなるので、「プライオリティー」と「自分が狙っている波」のことを気に掛けています。
※プライオリティーとは波に乗る優先権。プライオリティーを持った選手は、選択した波に対してポジション及び進行方向に関係なく全面的に波の優先権を持つことができる。
T:プライオリティーの使い方で試合運びは変わりますか?
H:はい、変わります。私はプライオリティーなしの大会(オージー2人、自分、あと1人の選手)で、マークされ波が回ってこなくて負けた経験があります。全員に波が回ってくるプライオリティーは重要ですね。自分が負けていて残り時間が少ない試合の状況でプライオリティーを持っていると波に集中できるし、余裕も持てます。ですので、プライオリティーのある試合は最後の逆転劇がありうるのでフォーンがなるまで何が起こるかわかりません。
4.選手の得意技—
H:選手には得意技があり、決まれば高得点が期待できます。体格の大きい選手はパワーのあるサーフィン、ブラジリアンはエアーを得意とする選手が多いなど、得意技は1人1人違います。
※エアー(エアリアル)とはスピードに乗り、波から空中に飛び出し着地する技。
T:堀越プロの得意技は何ですか?
H:エアーです。自分のサーフィンの魅力の1つで「皆様に新しいサーフィンを魅せたい!」と想っています。特に『エアリバース』をチェックして下さい。難しい技だけど、観ていても楽しいし決まった時はとても嬉しいです!
T:エアリバースとは空中で板を180度回転させる高難度の技です。堀越proのエアリバースをご覧下さい。
試合で勝つために心掛けていること
T:試合の見所として、以下4つをご紹介頂きました。
1.自然相手 のスポーツ
2.出場選手のホームポイント
3.波の取り方・ポジショニング
4.選手の得意技
と紹介して貰いました。堀越力proが試合で勝つために普段から心掛けていることはありますか?
H:そうですね、いくつかあります。
・1つ目:波をよく観察する。サーフィンは自然相手であり同じ波は2度と来ません。自分のヒートの1時間前にはいつどこで、どのような波が来るのかをチェックしています。
・2つ目:ウォーミングUP
・3つ目:ヒート前に友人と適度に話す。音楽を聴いたり、1人で集中力を高める選手もいますが、私は性格上、真面目過ぎるので黙っていると硬くなりすぎる傾向があるから、友人と適度に話すようにしています。
・4つ目:練習と試合を分けない。今までは練習と試合を別々に分けて考えていましたが、今では本番を想定して練習することで、試合で硬くなり過ぎず自分のサーフィンを出せるようになってきました。又サーフィン練習やウェイトトレーニング、食事内容などを毎日記録しています。それも良い結果を出している要因ですね。
2017年度の目標
T:最後に2017年度の目標を教えて下さい。
H:今年1年はチャレンジ精神で様々なことに挑戦していきます!
1.世界に挑戦する!WQSのツアーに参戦します。特に7月のMURASAKI SHONAN OPENでは優勝したいです。
2.国内の試合でも優勝を目指します!
3.SUPサーフィン、SUPのレースにも挑戦していきたいです。
T:堀越力proありがとうございました。勝ちに対して純粋でありそれを楽しんでいる。インタビューをしていてそんな印象を受けました。2017年の堀越力proの活躍に期待です。WQSは日本国内での開催もあり、JPSA ショートボード第1戦 バリは4月10日~。インタビューにあった見所を抑え、サーフィンの試合を楽しんで頂けたら幸いです。
堀越 力 (ほりこし りき)
サーフィン&サップサーフィン日本代表選手
1.Grow Cafe
堀越ファミリーが出した静岡県にあるサーフカフェ。カフェメインですが海まで徒歩1分でシャワー設備や宿泊施設、サーフスクールなどもやっています!
instagram http://instagram.com/growcafe96
facebook https://www.facebook.com/Grow-Cafe-194997327612987/
2.grow surf
湘南鵠沼海岸にあるサーフショップ。サーフボードやギアの販売、堀越力のサーフスクールもやっています!
facebook https://m.facebook.com/growsurf9632/
ホームページ http://growsurf.jp/index.html
3.堀越力インスタグラム
https://www.instagram.com/rikihorikoshi/
"Catch The Funwave!" - WAVAL(ウェイバル)
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この記事を書いたライター
T.kazu
【Make your life more comfy】をテーマに管理栄養士・スポーツトレーナー・ピラティスのハイブリットな技術で、一般~スポーツ愛好家の方までの身体作りをサポート!湘南にて日々、奮闘中。 健康相談はお気軽にどうぞ:http://comfy.studio
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