日本の海岸浸食の実情とは 失われていく砂浜を守るために!

ライター: masaaki

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台風シーズンが過ぎ去り、砂浜の地形が大きく変わったポイントも多いのではないでしょうか。

日本国内の海岸浸食は今に始まったものではなく、経済発展を背景に臨海開発や湾岸工事が始まった30~40年前から続いています。現在も、その変化は著しく、年間の海岸浸食は160haにもなり、今のままでは30年後に三宅島とほぼ同等の4,800haもの海岸がなくなると言われています。危機的状況に立たされた砂浜を守るために、海岸浸食の現状と原因、対策を考えたいと思います。

【Index】
・日本の海岸浸食の現状
-千葉 九十九里・湘南 茅ヶ崎海岸の海岸浸食
-海岸浸食による動物への影響
・海岸浸食の原因
・海岸浸食への対策と課題

日本の海岸浸食の現状

浸食

近年、海岸浸食が原因で閉鎖される海水浴場も後を絶ちません。日本は、総延長約35,000kmにも及ぶ海岸線を持つ、四方を海に囲まれた島国。世界的に見ても、国土面積における海岸線の割合で諸外国と比べ非常に長い海岸線を有していることになります。例えば1㎢あたりの海岸線の長さは、アメリカ2.2km、イタリア17.0km、イギリス51.4km。それに対して日本は91.3kmと出色しており、海岸線は如何に日本にとって重要な国土基盤になっているかがわかります。日本の砂浜の面積は全国で約19,000haとされていますが、この15年間で約13%に当たる2,400haほどの海岸が浸食により消失しています。
参照:国土交通省

千葉 九十九里・湘南 茅ヶ崎海岸の海岸浸食

2020年東京オリンピックサーフィン会場にもなっている千葉県房総半島の九十九里海岸は全長60Kmにも及ぶ砂浜が続く国内でも有数の海岸線です。しかしこの約40年にわたる海岸浸食により、およそ30kmの海岸線が侵食され、陸地との境となる汀線は最大100mも後退しています。九十九里を含む房総半島全体では、海水浴場が30か所以上閉鎖され、海の家や飲食店なども閉店を余儀なくされているのです。

また、首都圏に近くマリンスポーツや海浜リゾートが盛んな湘南地域では、1960年代から海岸浸食が目立つようになり、とくに茅ケ崎海岸では高潮による擁壁崩落や路面陥没などの被害が出ています。毎年、膨大な予算を組んで養浜事業を行っていますが、急激な海岸浸食により、海岸線の地形すらも変わってしまった湘南海岸をもとの状態に戻すことは既に難しい状況にあると言えます。

海岸

このような海岸浸食は日本全国の海岸線で見られ、既に多くの砂浜が消失してしまっています。海岸線は波の力を弱まらせることで、津波被害を防ぐ防災上の役割があります。海岸浸食が進んで行くと、波の力が遮られることなく陸地に押し寄せ、高潮被害を増幅する恐れがあります。近年、このような高潮被害により、道路や市街地が損害を受け埋没、破壊されてしまった報告が既に報道でも取り上げられるようになってきているのです。

産卵

海岸浸食による動物への影響

海岸浸食による弊害は、海岸線を生育環境とする動植物にも影響を与えます。砂浜に産卵するためにやってくるウミガメの産卵数、産卵回数が激減しているのはこうした海岸浸食も原因の1つとされています。魚介類をはじめとした海洋生物の他、海岸線には植物やプランクトンなど、生態系を維持するためのさまざまな生物が存在します。これらも海岸浸食により壊滅的な打撃を受けており、生態系を乱す要因になっています。

私たち人間にとっても、海水浴場の閉鎖など、海と触れ合う機会が失われていっています。海岸浸食により、お祭りやリクレーションが開けなくなった地域もあり、古来から続く、海と共存していた文化さえも衰退していくことになりかねません。

海岸浸食の原因

ダム工事

日本中で深刻化する海岸浸食の原因は、そのほとんどが乱開発などによる人為的要因と言えます。高度経済成長期以降、日本では山、海、川などの自然環境を変化させる作られた建造物(港湾、漁港、防波堤工事)などにより潮の流れを変化させ、砂の堆積する漂砂すらも変化させました。土砂が海に流れ出す河川では、上流にダムが作られ、河川敷では砂利の採掘や埋め立て工事が進められていきました。このような経済発展の名のもと、進められてきた乱開発により陸地から海岸線に堆積するはずの土砂が減り、海岸から沖に流される砂の量の方が多いことから浸食が進んでいるとみられています。また天然ガスや地下水の過剰採掘による地盤沈下も要因のひとつとされています。

いづれにしても、海岸浸食の原因は台風や高波などの自然的要因ではなく、人類が経済発展のために開発を進めたことによる弊害なのだと言えるのです。

海岸浸食への対策と課題

治山、治水、水資源開発を目的としたダム工事や、沿岸地域の港湾、漁港整備が原因と分かっても、一度造られた建造物を壊すことは出来ません。利便性や安全性を考慮して造られた、文明の遺産が全て悪の根源ではないのです。公害問題や環境問題にも共通することですが、自然との共存共栄が大きなテーマではないでしょうか。

砂入れ

海岸浸食の対策として、離岸堤や人工リーフをはじめとした海岸浸食対策工法が用いられるようにはなってきました。全国の治自体でも、消波ブロック、テトラポットの整備や土砂を海に入れるなど、さまざまな対策を講じてはいます。しかし、一定の効果は上げていますが、一長一短があり、浸食を止められるところまで行っていないのが現実です。目の前で無くなった砂浜を埋め立てるだけのミクロ的な対策よりも、漂砂のメカニズムを解析して元の自然に戻るようなマクロ的な対策が急務だと思われます。

未来

海岸浸食は一個人で何かできるような簡単なものではありません。しかし海岸浸食の現状と原因を知ることで、植樹事業港湾事業に理解と検閲する目が養われることに繋がります。経済発展という大義を振りかざし、地球環境を脅かしてきた間違いを、今後は見直していかなくてはなりません。

人類が破壊してしまった海岸線を取り戻すことが、未来の子どもたちに贈る本当の遺産なのではないでしょうか。

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この記事を書いたライター

masaaki

サーフィンの魅力にとりつかれ海の目の前に移住し、スローライフな日々を過ごしています。海辺での生活の楽しさや、初心者にもわかりやすくサーフィンの魅力を伝えます。